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「おや、カラスさん本来の姿に戻ったんだね!」
「あぁ、二人のおかげでこんなに回復できた。ありがとう。」
サイカは「いいえ、僕はなんにも。」と笑いながら言うと、その視線を秋人とカラスの繋がれた手にむける。
(…………。)
「サイカさん!カラスさんの本当の姿、綺麗だし、背も高いし!すっごいかっこいいですよね!?」
キラキラした目で見つめてくる秋人にサイカはニコリと笑うと「…そうだね。」
と言って二人に近づいていく。
「怪我はもう大丈夫そうだね。でも一応ざっとみせてもらってもいいかな?」
「あぁ、たのむ。」
サイカはいまだに繋がれた二人の手に少し眉を寄せると秋人の手ふれた。
「秋人、カラスさんの身体の様子を診たいから、ね?!」
「あっ!そうですね!!」
秋人はパッとカラスの手を離すと少し離れた所に腰をおろし二人の様子をうかがった。
サイカは手際よくカラスの身体を診ていく。
「うん、大丈夫そうだね。」
「本当か!それはよかった。」
カラスは目を細め笑う。そして秋人とサイカ、両方の顔を交互に見るとその場に正座をした。
「秋人にサイカ殿。この度は本当に助かった。こんな俺をあたたかく迎え入れてくれて、なんとお礼を言ったらいいか……、本当にありがとう。」
深々と頭を下げるカラスに二人は慌てて顔をあげるように言う。
「やめてカラスさん!べつにたいしたことしてないから!」
「そんな頭を下げなくていいんだよカラスさん。」
二人の言葉に顔あげたカラスだったが、またすぐに「ありがとう」と頭をさげたのだった。
それから3人は秋人の作ったプリンをおやつに食べた。
サイカもカラスも初めてのプリンの美味しさに、驚きと感動で二人して涙目になっていた。
特にカラスは初めて口にするものばかりらしく、秋人の料理に毎回「うまい!!うまい!!」と感動していた。
秋人そんな二人を見て笑いながら、お茶を入れる。
「ねぇ、カラスさん。」
「なんだ?」
「俺、カラスさんの名前考えたよ!」
「本当か!!」
「うん!!カラスさんの姿を見た瞬間にうかんだんだ!!」
カラスは喜びと期待で胸をふくらませながら秋人の言葉を待つ。
「カラスさんの名前は、今日から「紅」(こう)だよ!!」
「紅?」
「そう、紅。俺はね、君のその白くて綺麗な肌にまるでザクロの実のように鮮やかでキラキラ輝いているその瞳が大好きなんだ。だから、紅ってつけたんだけど……。いやかな?!」
黙ったまま下を向いた紅に秋人は、名前が気に入らなかったのかもしれないと不安になり、その顔をのぞきこむ。
「え?」
秋人は驚きに声をあげた。
のぞきこんだ彼の顔は真っ赤に染まっていたのだ。
「どうしたの!?そんなに嫌だった??!」
「ちっ違う!!俺のこの目を綺麗とか大好きだとか秋人が言うからっ!!その…嬉しいというか、恥ずかしいというか……。名前、凄く嬉しいありがとうな!」
紅はそう言うと両手で顔を隠してしまった。しかし、赤みは耳にまでたっしていて、そのことに紅は気づいていなかった。秋人はそれを見てサイカと二人顔を見合せくすっと笑った。
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