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きいろは、行き交う大学生の注目を浴びていた。それをものともせずに、きいろは、自らの足を指差した。そこには、どこかいいブランドなのだろう、光沢のある蛍光色の長靴があった。
「買ったの?」
俺は思わず問う。
きいろは、首をふるふると振る。
「みて。さっきカエル見つけたから!」
そういって、きいろは、長靴を脱ぐと小さなカエルを取り出した。
「変なお兄さんが遊びに行かない?ってしつこかったから、なかなか捕まえられなくて大変だった」
そう言って、きいろは、カエルを逃がすと帰ろうかと、笑った。
「今日は寒いから、みどりの傘にはいろーっと!」
きいろは、そう言うと俺の傘にはいってきた。
周りからみたら、俺たちはカップルに見えるのだろうか。そう思うと、今だけと思い、きいろが濡れないように、肩を自分のほうに寄せた。
「よく、ここだって分かったね。なんで?」
「きいろ、桜の木好きだろ。」
俺たちが出会ったのも桜の木のしただった。
今は季節的に、色をつけない木が生い茂っているが、春になると、この坂は桜色に染まる。来年にでも、きいろを連れて歩きたい。
「絵は?」
俺は、急に思い出し問う。
「昨日と今日とで完成したよ。今回は、すごく小さなキャンバスだから。すぐ終わったの。あした、先生にみてもらう。みどりは、見ないでね。絵が展示されたときに。楽しみにしといて。」
きいろは、そう言うと、「今日は、ハンバーグでしょ?」とおどけたように、俺の手を引っ張り歩き出した。
きいろといると、こんな雨の曇り空でも不思議と輝いて見える。早くハンバーグをつくってやろう。俺も自然と急ぎ足になった。
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