アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
朝起きると、母さんが朝食をつくってくれていた。みどりは、準備をして、急いでバスに乗り込み、待ち合わせの喫茶店に向かった。
窓際の席に知的なメガネをかけた男が座っていた。
俺は、深く頭を下げて挨拶をした。
「お久しぶりです。早瀬さん。」
「斎藤さん。連絡ありがとうございます。すごくお久しぶりですね」
早瀬も立ち上がると、挨拶してくれた。
俺は店員にコーヒーを頼むと向かいの椅子に座った。
「...さて、聞きたいことは一週間前に出所した月島慎二さんのことですよね?」
「はい。話が早くて嬉しいです。俺は月島きいろさんの代わりにお話を伺いたいと思い連絡させていただきました。」
「あなた様の家族は、よい方々ばかりですね。月島きいろさんのためによく一年間闘いましたね。
月島慎二は、きいろさんへの傷害罪、強要罪に加えて、薬物乱用の罪で懲役2年と執行猶予5年という判決のもと、ものの一か月もせず再犯を犯し、服役していました。月島氏から、きいろさんの親権はなくなりましたし、きいろさんも成人し自立しましたね。もう怖れることはありません」
早瀬は、コーヒーを一口飲むと、眼鏡を押し上げた。
「きいろさんは、お元気でしょうか」
「ええ。あいつは強いんで。あの・・・出所した際のきいろの父親はどんな感じでしたか」
「服役中は、とてもまじめだったそうですよ。薬物依存の間は大変でしたが。もう、二度と起こさないと言っていましたね。きいろさんに関しては、何も。ただ、そちらから会わないよう厳重注意を受けたそうです。」
「…そうですか。早瀬さんにはお世話になりました。ありがとうございます。」
俺は、深々と頭を下げた。
「いいえ。きいろくんは、父親に洗脳されているようで、起訴しない姿勢でしたからね。斎藤さんがきちんと証拠をとらえ、警察が現行犯で逮捕できたことがきいろさんを守ることに繋がったのですよ」
早瀬は、静かに笑った。
「また困ったことがあればいつでも相談にきてください」
「今度はきいろも連れていきます。今日はありがとうございます」
早瀬は仕事に向かうというのでそのまま別れた。時計の針は、ちょうど11時をさしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
60 / 329