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僕の隣でどうですか
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カタ、とペンを置く。
「お、終わった……」
何とか昨日二ノ宮くんに頼んで期限を明日に伸ばしてもらった資料を全て片付けて、一息つく。
時計を見ると朝の7時。
こんなことしてる場合じゃない。
生徒会役員、風紀委員はその仕事の量に授業出席免除があるが、まだ遥はそれを使ったことはないし、使う気もなかった。
つまり、今から学校へ行って授業を受けなくてはならないのだ。
「でもやっぱり、眠い、なぁ」
それはそうだ。
何とか仕事は終わったものの、そのせいで遥は一睡も出来ていないのだから。
目覚ましにとコーヒーを飲んで制服に腕を通す。
教室に行く前に風紀委員室に寄らなければならない。
いくら今日までといっても本来は昨日までの仕事だから持っていくのはできるだけ早いほうがいいだろう、と思ったのだ。
「もういるかな、二ノ宮君。桜月君でもいいんだけど」
身支度も終わって、風紀委員室に来たけれど、
まさかの誰もいないという。
でも、折角ここまできたし、よし。
『遅くなって、ごめんなさい。鈴原』
メモを書いてそのまま机に置いて部屋を出る。
おはようと言って、教室に入るとみんなおはようと返してくれた。
昨日の食堂のことを見てた人もいて、大丈夫か、と聞いてくる。それに大丈夫だよと笑って返す。
授業免除もいいけど、みんなと会うのは楽しみなんだよな。
時間になって先生が入ってきた。
「あー、今日は転校生がいます」
ザワ、と揺れる教室と僕の心。
今日転校生っていったら十中八九大原くんだろう。
それはまだいい。
生徒会役員メンバーもこのクラスなのだ。
ちなみに、二ノ宮くんは隣のクラスだったり。
正直、昨日の今日だけど大原くんへのあの3人の執着度は高い。
それで親衛隊も黙ってはいないだろうし…
だめだ、悪い考えが頭の中でグルグル回って離れない。
「はいれー」
ガラ、と扉を開けて入ってきたのはやっぱり大原くん。
昨日みたいに、もじゃもじゃしたまりも頭に瓶底メガネ。
そんな彼に教室は荒れた。
「可愛くねー」
「なに、あれ…」
「キモイんですけど!!」
うーん、それがやっぱり普通の反応だよね、失礼だけど。
「俺、大原蓮!よろしくな!」
そんなみんなの声も聞こえていないように大きく発して、ニカっと笑う。
席は、と見回す先生に
「先生、私の隣でいいでしょう」
と声をあげたのは紀田くん。
あー、だめだよそんなこと言ったら…
「き、紀田様!?いけません!!」
ほら、みんな戸惑ってるじゃん
「待ってよ翼。蓮の隣に座るのは俺だよ」
「蓮、は、俺、隣」
みんなも口々に言うもんだからクラス中がぽかんとしている。
これじゃ決まらないし、状況が悪くなる。
「先生、僕の隣でどうですか」
紀田くん達のやり取りを見てやはり唖然としていた先生は僕の声でハッと我に帰る。
「じゃあ、大原は鈴原の隣で」
先生!と紀田くん達は言うけど、これが最善の策なんだと思う。
「俺の隣は遥か!よろしくな!でも翼達の方がよかったな!」
……先生、席替えがしたいです。
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