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押し付ける
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はい、こんにちは会長の鈴原です。
今猛烈に自分の発言に後悔しています。
なぜなら
「なーなー!遥って、なんで会長になったんだ!?」
「色々あったんだよ」
「色々ってなんだよ!だって、調べたけど遥って、庶民なんだろ!?」
「前はね」
うん、ふと気付いたけど、何気に大原くん僕のこと調べたって言ったのか。
「調べたって、どういうこと?」
「だって遥って会長だけど真人みたいな金持ちで偉いってオーラがねぇんだもん!気になんじゃん!」
「………」
わかってるよ、そんなこと。
でもなんで昨日会ったばかりの人にそんなこと言われないといけないんだと少しだけ黒い感情が湧き出してくる。
先生に大原くんは僕の隣にと提案したはいいけれど、いやよくはかったけれど、ずっと話しかけてきていた。
本人にとってそれは悪気のないものなんだろうけど、その一言一言が僕の心に重くのしかかる。
最初は笑っていられた僕だけど今はもう真顔になって動かない。
そんなことを知ってか知らずか、ずっと喋り続ける大原くん。
なんだろう、急に今大原くんに僕だけすごく嫌われてる気がしてきた。
もうだめだ、次から紀田くんたちに任せよう。
昼休みになると他の生徒会メンバーが大原くんの周りに集まってきた。
もう大丈夫かなと思った僕は「ちょっと、よろしくね」っと言って、教室を出る。
ここでいつもならどこに行くんですか、と聞いてくる紀田くんは今日は見向きもしなかった。
「はー」
屋上に来て1人息を吐く。
疲れた。
「何であんなに痛いところ付いてくるかなかぁ」
ここ屋上は生徒会、風紀委員が持ってる特別なカードでしか鍵を開けられない。
し、他の人も早々来ないから僕の一番気の抜けるところだ。
でも、その日は違った。
ーーガチャ、
と扉の開く音。
「あ?なんで鍵あいてんだ」
この声、二ノ宮くん?
え、何で?……何で!?
「もしかして、誰か勝手に開けた……、鈴原」
「はい、鈴原です。ごめんなさい」
「なんで謝んだよ。鍵持ってんだろうが」
「そ、そうだけど……」
一般生徒が勝手に鍵を開けだと思って入ってきた二ノ宮くんと、元からいた僕は当然鉢合わせする。
一瞬驚いたけど、すぐ元に戻る二ノ宮くんは、流石です。
「で?あの転校生は?」
「あ、えと、紀田くん達が付いてるよ」
「…ベッタリだな」
「そうみたいだね」
僕にとっては、はははと乾いた笑いしか出ない。
「どーせ面倒だからって押し付けてるんだろ?」
「はい?」
いやいや、何でそうなるんですか。
二ノ宮DNA思い込み激しすぎじゃないんですか。
「違います。そんなことしてません」
「俺はお前が転校生の世話をしてるとこ、見たことねぇけどな」
これはさ、流石に傷心中の僕にはちょーっとイラっときますよ?
「お言葉ですけど、転校生の世話を生徒会に全て任せてるのは風紀じゃありませんか」
「だが…
「いえ、すみません。失礼します」
おいっ、鈴原!」
二ノ宮が何かいうのを遮ってドアを開けて屋上を出る。
ー押し付けてるって、何だよ……
目の前が少し歪んだのは気のせいだ。
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