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バレた?
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「遥、今日私達蓮と用事があるので先に失礼しますね」
「え、?仕事終わってない、よね?」
あの後、なんとかチャイムギリギリで教室に入って授業を受けた。大原くんはずっと話しかけてたみたいだけど、ほとんど覚えてはいない。
そして、放課後、冒頭
「えぇ…。けれど蓮が…」
「だけど、今日までの書類がいっぱいあるはずだよ」
「と、とにかく、今頃予定を変更できません。では、失礼します」
「ちょっ、紀田くん!?」
パタン、と生徒会室の扉が閉まる。
シーンと静まる室内で一度、それぞれの机に乗っている膨大な量のプリントを見て、ため息をつく。
ど、どうするか。
別に仕事を休むことをどうのこうの言ってるわけじゃない。
提出期限がついた資料は大抵重要なものが多い。
それを、昨日もなのに今日もだなんて、風紀が黙っていない。
二ノ宮くんとも、できれば会いたくないし。
「あー、もう。やるだけやろう」
諦めて今日もまた徹夜を決意する。
ーーコンコン、とノックの音がした。
「はい」
「風紀副です、会長」
「桜月くん?どうぞ?」
「失礼します」
珍しく、生徒会室にやってきたのは桜月くんだった。
多分まだ提出されてないものがある、とかだろうけど二ノ宮くんじゃないことは凄く助かった。
あれ、二ノ宮くんは?
「会長、まだ提出されてないものがあるんですが」
「あー、えっとごめんね。まだ、なんだ」
2日連続提出期限を守らなくって、凄く申し訳ないと自然と頭が下がる。
「そうですか。では、出来次第早急に持って来てください」
「え、あ、いいの?」
「いいも何も、できないことにはどうにもなりませんから」
思った以上に桜月くんは冷静だった。
では私はこれで、と扉に向かう足を止めこちらにまた振り返る。
「?」
「他の、役員はどうしたんですか」
「ぁ、な、なんか用事って言ってたよ?」
「生徒会ですし、風紀がとやかく言うつもりはありませんが、みんないっぺんに休むわけはないでしょう、と現時点では伝えておきますね」
「?どういう…」
「あと、その膨大な資料。全部お一人でする気ですか?」
チラリ、と机に乗っている積み重なったプリントを見る。
「今回は緊急事態ということで風紀のものを2、3人向かわせましょうか」
「大丈夫だよ」
そんなことバレたら、また二ノ宮くんに何て言われるか……
「ですが、…」
「大丈夫です。あ、でも二ノ宮くんには、内緒でお願いします」
眉を下げながら人差し指を唇に当てて笑って言った。
沈黙して考えた後、桜月くんのはぁと小さくため息が聞こえた。
「……、今回は様子見ということにしておきます。またこのようなことがあれば対処しますので」
「ありがとう。優しいね、桜月くん」
気が抜けて、ふっと口角が上げれば桜月くんが一瞬眉間にしわを寄せたように見えた。
「……、いえ。ではくれぐれもご無理はなさらないように」
「うん、ありがとう」
「あ。あと、転校生を任せてしまってすみません」
最初二ノ宮くんとのことが思い出されたけど
嫌味でもなく、怒ってる風でもなく、ただそう思ったから言ったっていう感じの桜月くんの言い方に安堵する。
「ううん。請け負ったのも、こっちだしね」
そうですか、と言った後、一礼してドアから出る。
なんか、あんまり喋ったことなかったけど、いい人だな桜月くん。
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