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巻き添えか、必然か
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裏庭の角を曲がった死角になっているところ。
そこに、大原君はいた。
いや、大原君達はいた。
どうやら仲良くうふふ、という状況ではないらしい。
そこにはいわゆる不良と呼ばれるような人達が3人と、その3人に囲まれている大原君。
4人とも、まだ僕には気づいてはいない。
「お前さぁ、マジむかつくんだけど」
「何がだよ!こんな事していいのかっ!?龍に言うぞ!!」
「それだよ。んでお前があの人を呼び捨てしてんだよ」
「龍がいいって言ったんだ!」
「つか、龍さんにベタベタしすぎなんだよ」
「寂しそうだったから友達になってやったんだ!何が悪いんだよ!」
「あ"ーもーうるせぇ。やろーぜ」
ここの学校は金持ちの集まりといっても、そういう関係の子供も結構多いし、逆に金持ちからグレてしまった人もいる。
そんな彼らを一般生徒と一緒にしたくないと理事長の考えから、F組ができた。
あの4人の会話に出てく龍とは、そのF組を仕切ってる人だったような気がする。
事実上のトップってことになるのかな。
紀田くん達や風紀のみんなに劣らず、すごく顔立ちがいいことで有名であり、極道の息子であり、男前なのだ。
もはやF組は宗教のごとく「龍」に憧れ、尊敬し、敬愛している。
親衛隊に、近いかな。
会話を聞いていると、大原君が「龍」に接触し、呼び捨てで呼び合う仲になったが……
他のみんなが許さない、みたいな。
……面倒くさい。
やろーぜ、という不良2の言葉が合図だったように、3人大原君に殴りかかろうとした。
考えるより先に、体が動いた。
「ちょっ、ストーップ!」
いきなり飛び出した僕に、は?と僕以外のみんなの目が点になる。
「暴力行為は禁止。ましてや、体育祭中だよ?」
「かんけーねぇよ。つか、アンタ会長様じゃね?」
大原君に向いていた視線が、僕に移る。
ここで、会長という役職がなんの関係があるのだろうか?
まさか、これで止めてくれるとか……
「はっ丁度いい。生徒会とか、いっつも俺らを見下しててムカついてたんだよなぁ」
「え、?」
僕は、というか、僕ら生徒会は誰も彼らF組を見下してなんかいない。
「ならもーコイツも一緒でよくね?」
一緒、とは。
彼らの中で完結したのか、3人の視線が僕と大原君に向けられ、ジリジリと歩み寄ってくる。
「え、待って何…」
「お前ら、龍にいいつけてやるからな!」
大原君が怒鳴ったと同時に、うっせーよと言って不良1君が頬を殴った。
「え、お、大原く……っ!?」
吹っ飛ばされた大原君に近寄ろうとしか瞬間、ドゴ、という音がした。
じわじわと痛みと熱を持ってくる自分の頬に殴られたのだと理解した。
途端、体が震えだした。
父さんのことを、思い出したから。
「ビビってらー。」
あざ笑う不良達は、僕が怖くて震えていると思ったらしい。
大原君には2人がかりで、僕には1人で。
5分か、10分か、または1時間か。
それよりもっと短いのかもしれない。
満足したのか、さっきまで殴る蹴るしていた不良達はどこかに行ってしまった。
それにしても、身体中が痛い。
「大原、君。大丈夫?」
ほんの数メートル離れたところに大原君も倒れていて、腕を使って這い寄る。
気を失っているらしい。
さて、どうしようか……
なんとか辿り着いた僕は、大原君の肩に手を置き、少しだけゆすった。
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