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そのころは
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「4日目……」
「だーうるせぇぞ桜月。毎日毎日ここ来て何日何日言いやがって。カレンダーでも作る気か」
「一週間って、長いですね」
「そら7日だからな」
「…何でそんな冷静なんですか」
「俺から見ればお前も冷静な方に見えるけどな」
「はー」
この男は、と思う。
桜月はあれから毎日保健室に来ていた。
仕事を邪魔しない程度に、そして自分の仕事も疎かにならないように。
「心配ならもう少し心配そうにしてください」
「うっせーな。ゴタゴタ言っても仕方ないだろ」
イライラしている、とは感じている。
きっとそれはこの人も一週間何もできない自分にイラついているのだろう。
と、信じたいが。
「帰ってきたとしても、大丈夫でしょうか」
「…あぁ」
試験が終わってすぐ夏休みに入ったから良かったものの、少しずつ会長の謹慎のことが一般生徒、もしくは親衛隊に広まってきている。
「昨日、井川君が来たんですよね」
井川実。
会長の親衛隊隊長。
「会長の謹慎は本当ですか、と涙ながらに聞いてきましたよ」
「へぇ」
「…大丈夫でしょうかね」
「……すぐそれだな」
「だって!」
ガタッと音を立てて立ち上がる。
「わーったから、立つなって」
面倒くさそうにこちらを見る先生に、少しだけ冷静になる。
ほら、さっさと仕事にもどれと、手しっしっとする先生に、失礼しますと一言告げて保健室を出る。
ドアを閉めてまたため息を吐く。
また、そのドアの反対側、つまり保健室でも動かしていた手を止め、保健医は宙を仰いだ。
「「あと3日、か……」」
「長いな」
「なげぇな」
安堵が先か、後悔が先か。
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