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貰っていってもいいですか
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突然凄い音を立てて開いた扉にビックリして、固まってしまった。
「……殴っていいですか」
「は、なんでだよ」
ジロと、桜月君が先生を睨んで、先生は僕を見た。
「……悪い」
僕の様子を見て、気がついたように謝った。
「ぁ、…ぃ…」
「会長」
大丈夫です、と言おうとしたけれど、声が出ないことに桜月君の方が気づき、優しく声をかけてくれた。
あ、と気づいて。
『大丈夫です』
と打った。
その文字をまじまじと見て、僕の顔を見た。
「お前……まじか」
声が出ないことに気がついたらしい。
『1人の時は、普通に出るんですけど…』
そう打つと、じっとしてろよ、とと言って僕の首に手を近づけてきた。
「ぅっ…」
体が。
首を絞められると勝手に解釈し、体が強張る。
それに気づいた先生は、険しい顔をして腕を下ろした。
「何があったか、話せるか?」
気遣うように聞いた先生に、僕は俯いた。
言ってしまって、いいのだろうか。
バレたら、父さんから、また……
「大丈夫だ。お前が心配してることは、させねぇよ」
優しく、本当に優しく僕の頭をクシャリと撫でた。
「たまにイケメンですよね……たまに」
「お前なぁ、今いいとこだろ」
「俺様なのに…」
「お、ま、え、なぁ!」
『や、止めて下さい!』
バッと桜月君も先生の携帯を出し、一触即発の空気を止める。
『2人ともイケメンですから!』
真面目に言ったのに、その文字を見た2人は笑った。
「すみません。会長から言われたら、何も言えませんね」
「お前らしいな」
ハハッと笑った先生は、今度は真剣な顔になった。
「声が出ねぇくらい何かされたんだろ?言えるか?」
グッとケータイを握りしめ、
(桜月君の何だけど…ごめんなさい)
冷や汗を拭う。
『ずっと、…殴られてました』
「服脱げるか?」
触れないなら、自分でするしかないからな、と言う。
きっと先生は傷の具合を見るだけだと思う。
また押し黙ってしまった僕に、2人は顔を見合わせた。
だって、言えない。
襲われました、なんて。
汚い、のに。
昨日の夜、服を着替えた時鏡に映っていた僕についていたのは、数カ所の赤い痕。
いつつけたのかなんて、そんなのわかるはずもない。
「会長?」
「鈴原、まだ何かあるの…」
か、と言い切る前に、扉が開いた。
「鈴原さん」
そこにいたのは父さんと母さんで。
「そろそろ用事があるのですが」
といった父さんに、先生は
「あー、なら、遥くん貰っていってもいいですか?」
と言った。
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