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桜月が車へ戻ってきた後、話し合って二ノ宮家へ行くことに決めた。
「そういえば、今帰ったらいますよね」
「あー、言ってたな」
ただ心配なのは1つだけ。
二ノ宮家へ着いた時、遥はぐっすり眠っていた。
「起こさないほうが、いいですよね」
チラ、と先生を見ると、優しそうな顔で「あぁ」と言った。
そしてまた、会長は寝せたまま、起こさないようにお姫様抱っこをする。
俺はその光景に隠れて悶えていた。
ーいや、お姫様抱っこ、ナイス!
なんとかポーカーフェイスを保ちながら、先生の隣を歩く。
「でも、どこに寝せてあげますか」
「あー、客間空いてるだろ」
それにしても、と先生はいう。
「こいつ、軽いな」
「やつれてますよね」
落ち着いたら、少し強引にでも何があったか聞かなければと思う。
広い広い屋敷の、広い広い廊下を歩く。
途中、執事が先生に会長を持つのを変わりましょうかといってきたけれど、先生はそれを大丈夫だと断った。
まぁ、それが執事の仕事でもあるんだけど、先生の判断は正しいと思う。
そろそろ客間だ、というところで前方から見覚えのある人が歩いてきた。
それは、先日帰省のため家に帰っていた委員長で。心配事の1つだった。
「兄貴、と桜月?」
何故俺まで一緒なのかと不思議そうな顔をする。
「まぁ、いろいろありまして、ね」
と、会長を見た。
その視線を追い、委員長も会長を見る。
「、は!?なんでこいつが!」
一拍遅れて、会長だとわかったのだろう。
驚きを隠せない声で言った。
「その事だ。こいつ置いたら話があるから来い」
「、なんで…」
「来い」
「…わかった」
委員長からの話。
それは会長が家へ帰る直前、つまり大原への暴行問題のとき、あった事。
俺としては、委員長と会長の仲直りも込めてるけど。
それは二の次だ。
客間へ会長を寝せて、そのままそこで話をする。
別室のほうがいいかもしれないけど、起きた時1人は良くないと先生が言ったからだ。
「鈴原が謹慎になった時のこと、話せ」
「それは、そいつが大原を殴ったからであって…」
「全部話せ」
訳がわからないというように、委員長はあの日のことを話し始めた。
「あの時俺、寮の自分の部屋にいたんだ。
そしたら、いきなり大原から電話がかかってきて、『助けて、遥が』って言ってきた。
すぐに駆けつけて、ドアを叩いたら大原が服もはだけてずぶ濡れで出てきたんだ。
そして、その後ソイツが出てきて、…」
「お前はその時こいつになんて言った?」
「…、なんで、こんな事したんだって」
「違うだろ。なんで本当かって聞いてやらねぇんだ」
「っ、…」
「で?」
「あいつは、違うって否定して、泣いた。
それを俺は、……、なんで、お前が泣くんだと言った。泣いていいのは大原だろうって……」
「……会長は?」
「『もういい』つって、部屋に入った」
それを、そこにいた紀田たちが肯定ととって、理事長に報告したんだ。と。
「話を聞こうとしなかったんですか」
「大原の、怯え方が嘘とは思えなかったんだ…」
「あなたが見てきた会長は、そんなことする人でしたか!?
会長は、あなたに信じて欲しかったんじゃないんですか」
「けど、アイツはあの時何も言わなかった!俺に助けなんて求めてなかった!」
「っ!」
パンっと、乾いた音が部屋に響いた。
ジンジンと手が痺れるような感覚がする。
その前では、横を向いたまま驚きで動けない委員長がいる。
俺は、
「桜月…」
委員長を打った。
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