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母の言葉は絶対
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その日の夕飯の席。
みんな顔を合わせたところで、僕はもう一度お礼を言った。
「遥くん、声でたんだね!」
「はい」
「可愛らしい声じゃない!よかったわね」
て、照れ臭い。
二ノ宮くん達もそうだけど、自分のことで喜んでくれるのは、なんとも照れ臭い。
または、慣れていないのか。
いや、明らかに可愛らしい声っていうのは、理解できなかったけれど…。
「じゃあそろそろあっちに戻るのかい?」
「明後日だよ」
「え!?」
は、初耳なんですけど?
二宮君のお父さんの問いになんともなく返した二宮先生の言葉に驚きを隠しきれなかった。
聞けば、明後日ここを出て多々良さんのところに一度寄って、戻るらしい。
あ、僕の声が治るまで、か。
「あらあら、なら明日は遊ばなきゃね!」
いや、この家に来てから遊んでしかいないような気もするけど…。
「そうね、せっかくの夏休みだし…。海に行きましょう!」
ぱんっと、いかにもいい案だとでも言うように、とびっきりの笑顔を咲かせて二ノ宮くんのお母さんは手を叩いた。
「いぃねぇ。よし、私も明日休みにしよう」
「は、親父は来なくていいんじゃないか?」
「まぁそういうなよ真人。
私と母さんは、引っ込んでるから」
そしてなんで決定事項なのでしょうか。
海はすごく楽しみだけど、
「あの、僕海は…」
体に痣がある状態で服なんて脱げない。
まして、人がいっぱいいるとこ…
「あ、多分プライベートビーチですよ」
おぉっと次元が違いましたね。
「上にパーカーとか着とけば大丈夫だって」
先生は、どうやら僕の言いたいことを理解したらしい。
けれど、海には連れて行くらしい。
みんなが僕を見る目が、期待に輝いている。
う、、
「わ、かりました…」
「そうこなくっちゃね!思い出作りよ!」
あ、多分ここのお母さんは言ったことを実行する派で、みんなもそれをわかっている感じだ、と思った。
正直、海なんてあんまり行ったことないし、
泳げるかもわからないけど…。
楽しみだ、とは感じた。
「よかったですね、委員長。会長の水着見れますよ」
「ぶはっ」
食べていたサラダを盛大に吐き出した二ノ宮くん。
「真人、汚いぞ」
そういう二ノ宮父は、爆笑していて。
二ノ宮母は、笑っていて。
先生はといえば、ニヤニヤしていて。
「???」
僕はますます意味がわからなかった。
「だ、大丈夫?二ノ宮君」
「あ、あぁ!大丈夫だ、大丈夫」
大丈夫と言いながらもこちらを見てくれない二ノ宮くんに僕の頭に?が飛ぶ。
「あ、でも僕水着持ってないです…」
その僕の言葉にガタッと音を立てて席を立ったのは、二ノ宮母。
「なら、私が用意するわ!」
え、水着ごときで世界的デザイナーを動かしてしまっていいのでしょうか…。
でも、その目がすごくキラキラしてたから、何も言えなかった。
そのまま席を離れて多分仕事場へと向かう二ノ宮母。
「いやぁ、明日が楽しみだなぁ」
「そうだなぁ」
「そうですねぇ」
二ノ宮母の目で姿を追っていた僕は、他の3人の視線が二ノ宮くんにいってたことなんて、知らなかったけど。
「あぁくそ!もう寝る!」
そう響いて顔を上げると、二ノ宮くんは自室に戻って行った。
後ろから、耳が赤かったから、風邪ひいてないといいけど…。
大丈夫かな。
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