アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*07*
-
「あ、そっか。アツキはまだ知らないのか?」
ばつが悪い俺の代わりに、ソウヤが説明を引き継いだ。
「実は、デート相手、お前なんだよ。」
「はあ!?」
「いや、だからさ…」
これまでの経緯を聴き終える前に、アツキが怒声とも取れる声を上げた。
「なんでそうなんだよ?俺関係ないじゃん!!」
それはそうだ。
好きで不参加と言う訳ではないのに、巻き込まれてはたまらないだろう。
そうは思っても、やはり、アツキはいつも以上に感情的に見える。
「いやいや。不戦勝なんて、許されませんから。」
やけに毅然とした態度で、ハルトがアツキを煽る様な事を言う。
「そうだそうだ。」と他の二人が焚きつけるから、最悪だ。
「んだよ。それ…アホらしい。ほんっと、アホなことだけには頭の回転が早くなるな。」
「あ?それ、どういう意味だよ…?お前こそ、いつも――」
煽り煽られ、ハルトはついに日頃の不満までも口にしようとしている。
それにしても、アツキがこんなに熱くなるのは、珍しい。
「ま、いいか。さっさと済ませちまおうぜ。」くらいで流すのが普通なのに…
そんなに俺がイヤのかしら…と少し悲しくなる。
と、のんきにそんな事を思っている場合ではない。
場はまさに臨戦態勢。いつ、掴み合いが起こってもおかしくない。
「とりあえず!」
大きめの声を上げ、まずは言い合いを制する。
「で…デートはする事にしましょう。」
これは流石に大声では言えなかった。
「は?リオ、マジで言って…」
一番に反応した、アツキを手で制止し、俺は続けた。
「でも、デートだけ。それで罰ゲームは終了って事でいいよな?一週間はやりすぎだ。」
本音をいえば、デートも阻止したいが、この状況で、3:2の喧嘩をはじめるよりは、この程度の妥協が必要なのだろう。
アツキが珍しくヒートアップしてくれたおかげで、他の三人もこの妥協案をすんなり飲んでくれた。
アツキだって、これ以上抗うのも自体の悪化であるとわからない程、血が上っているわけではない。
「つか、なんで俺まで…?」
快諾とはならなかったが、アツキもこの条件で手を打ってくれたらしい。
いや、マジで、なんでそんなにこの罰ゲームを嫌がるんだ?
たかだか、手を繋いで、デートするだけだろ?
やっぱり、俺が嫌なのか?
最初は、自分だってめちゃくちゃ嫌がっていた筈なのに、未だに不貞腐れるアツキの横顔を見ていると、そんなに嫌がる程の物でもない様な気がしてきたから、不思議なものだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 31