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そんなこんなで、今に至る訳だけが…
俺の考えは完全に甘かった。
たかだか、手を繋いで歩くくらいどうってことない。
テレビやネットでも、同性同士のカップルなんて最近ではよく見るし、そんなに珍しいものではないだろうと思い直していたから、罰ゲームを開始する直前にはかなり気楽になっていたはずなのに…
いざ、俺らの地域のデートの定番である大型ショッピングセンターをアツキと手を繋いで歩いてみると、俺の豆腐なみのメンタルが、即座に崩れた。
平日のショッピングセンターは家族連れよりも、学校帰りの生徒が多い。
(もちろん男女のだけど)カップルもちらほら見える。
そして、忘れていたがここは片田舎…
テレビやネットでは、男同士が手を繋いであるくなんて、珍しくはないけどこんな田舎じゃとっても珍しいのだろう。
好奇の表情と視線を送りながら、すれ違う人たち。
遠目に立ち止まり、無遠慮に写メを撮る女子グループ。
そんな奴らも鬱陶しいけど、なによりも一番ムカつくのは、興味なさそうな顔して、チラチラと見てくる奴らだ。
「見るなら見る!見ないなら見ない!失礼でしょうが!」
そう説教してやりたい気持ちを必死で抑えるために、おれは頭の中で色々な計算をしていた。
高校卒業までの登校日数だとか――
バイト代の計算だとか――
心を落ち着けるために、素数を数えるとか、円周率を唱えるとか、たまに聞くが、そんなのインテリ連中の戯言だと思っていた。
しかし、(低レベルでも)実際やってみると、数字というのは、本当に気持ちを落ち着かせる効果があるのだと、初めて知った。
お陰で本来の目的まで忘れ去る処だった。
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