アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第二章:死神と魔王2
-
もともと、あてもなくふらふらと散歩するのは好きだった。
子供の頃はよく冒険と称した探索に出掛けたものだ。
あの頃は、兄さんもよく笑っていたっけ。
学校に入って、職場に入局して、いつの間にか兄さんは笑わなくなり、僕は…自分を守るために、よく笑うようになった。
楽しそう笑って空中ブランコをする道化師と、眉間にしわ寄せ必死の形相で空中ブランコをする道化師、どっちを見に行きたいかと問われれば、当然前者だ。
かつては、素直なよい子、なんて言われた僕も、重ねた月日と、身を置く環境でずいぶんと変化してしまったものだ、と、自分で自分を嘲笑ってみた。
見上げれば同調するように、木の葉が風になびいている。
そのまま立ち止まって、暫く揺れる木の葉を眺めていると、その先の曇り空の遥か彼方に、何やら一点が現れた。
「へ?」
それは次第に大きく、いや、こちらに向かって近づいてきて、それが魔だと気付くまでに時間は掛からなかった。
「いやぁあああ―!」
その魔は、叫びながら僕の真ん前に墜落した。
暫くピクリとも動かないので、死んでしまったのか?とまじまじ見つめていたら、いきなりガバッと起き上がった。
「お願いです!僕をかくまって下さい!」
「へ?」
「追われているんです!」
泥だらけの傷だらけの顔で必死にせがんでくる魔に僕は
「いいよ」
と言ってしまった。
そのままひょいっと魔を持ち上げる。
「へ?」
間の抜けた声が漏れた気がしたけど、構わず僕の家目がけてぶん投げた。
すかさず僕もジャンプして、サーフボードに乗る要領で、家に向かって飛ぶ魔の背に乗っかる。
さすがに速い。
風を切る感覚が心地よく、この感覚を知ってしまったら、自転車なんて物足りない。
「ぎゃあああああ!」
ただサーフボードが妙にうるさかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 59