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第3章 13
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「美味しいぃ…」
「……何回言うんだよ」
さっきっから、食べてる時の言葉はそれしか出ない
だってこんなに美味しい物食べた事ないから
手作りっていいね
「美味しいぃ…はぁ、もうトアが家にいればいいのに」
「は…っ!?」
「え、いや、例えだよ。何でそんなに驚くのさ」
「………無理だ…」
「あ、そういう……」
地味に傷つくなぁ…
テーブルを挟んで向かい合って食べる食事は、一体いつ振りなんだろう
一緒に食べる人なんて、居なかった
小さい頃以外
「……ふわぁ、美味しかった!ごちそーさま、トア」
「……別に」
「……あ、ねえねえ、思ったんだけどさ、君の髪は何色だい?」
「黒」
「やっぱりか!そうは思ってたけどね!」
と、笑って
トアはまぁ笑わないけど
誰かと食べる食事は思った以上に美味しくて、いつもこうなら良いのに、欲が出る程
「さてと、後は俺やるからさ、帰って良いよ」
「…………今日はありがとう」
「どーいたしまして。気をつけてね、暗いから」
「…あぁ」
玄関に立つ
お別れが何となく寂しくて
でもま、明日も会えるし
「それじゃあ」と、扉が開いてトアが向こうに行く
「また明日」と、笑って手を振る
ガチャリ
と、扉が閉まる音
そこから後は、いつも通りの日常
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