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「ごめんね」
唐突に謝る遙さん、その瞳は涙で潤んでいた。
「違うよ」
そう言って椅子から立ち上がって俺は頭を下げた。
2人は戸惑った顔をしている。
「すみませんでした。」
そう一言いってグッと頭を上げた
「2人は頑張ろうとしていてくれたのに俺は1人勝手にひねくれて、2人を否定して、家族を否定して、母さんの思いも無駄にしたんだ。俺がきっと一番家族を傷つけたと思う。今日はそれを謝りに来たんだ」
もう一度頭を下げて「すみませんでした」といった
「もう、いいんだよ。」
泣きそうなのか目頭をグッと人差し指と親指で押えながらそう言ってくれる義父さん。
「僕も、もう少ししてやれる形があったはずなのに、すまなかった。」
「私も、自暴自棄になっていたから、ごめんね」
「そんな、2人に謝らせたくて来たわけじゃ…」
なんて3人で謝り大会になって遙さんが「バカみたいね」と笑った。
「それにね、知ってたのよ私。父さんの浮気」
「「えっ!?」」
義父さんと俺の声が重なる。
「年頃の女の子よ?気づかないわけないじゃない」
「え、でも遙何も言ってなかったじゃないか」
「だって普通家に呼ぶ?誰か来た時点で流石に分かるわよ。」
俺は1人ポカーンと置いてけぼりだ。
あの時口から出て遙さんに言ってしまったと後悔していたのに、知っていた?
「その、なんで黙って…」
戸惑ったように俺は口を開いた。
まるで"涼太は悪くないよ"というように俺に被せるように遙さんは答えた。
「涼太に知られたくなかったの。義母さんを亡くして、そんなに経っていないのに父さんの愚行でしょ?でも父さんが疲れてそんなことしてるのも分かっちゃって、どう対応するのがいいのか分からなくなって、涼太もあんな態度だったしって考えてたら私も疲れちゃったのね」
笑ってるけど、わかった上であの家で過ごすのはどれだけしんどかっただろう…
「あの女性とは、縁を切ったよ。本当に、すまなかった」
「メアドも何もかも消したから安心してね」
「知らぬ間に消えてたの遙の仕業か…」
「仕業って何よ!縁を切る連絡はしてあったのに連絡先だけ残ってるから消したのよ!」
そう言ってグッドポーズをする遙さんをみて改めて女の人は強いなと実感した。
俺が思っているより遙さんは弱くなかったし、行動力のある人だったらしい。
気づいけば「あははっ」と笑っていた
あっ!と思った時にはもう遅くて遙さんが「昔の涼太みたいな笑い方した!」と嬉しそうにこっちをガン見する
少し気恥ずかしくて目を逸らしたら「ねぇ」ともう一度声をかけられた。
「もう"義姉さん"とは呼んでくれないの?」
「俺、呼ぶ資格ないから…」
急に頭をガシガシ掻き回された
「え、ちょっ、なに??」
「ばかね、いいのよ、呼んで。呼んでよ、家族でしょ?」
泣きそうな声、どれだけ俺はこの人を傷つけたんだろう
「ありがとう、義姉さん」
母さんが亡くなって、しばらく経ってから一度も呼ばなかった。初めて今、向き合った上で呼び直す。
「僕は?」
「義父さんも、ありがとう。」
心の中では呼んでいたけど、義父さんも浮気の件があったし、遙さんはめちゃめちゃ傷つけたと思ってたから…
「ご飯冷めちゃったねー」と温め直してから3人で久しぶりに「頂きます」と言って同じ食卓でご飯を食べた。
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