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98〜大和目線〜
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しっかし────どうするかな……。
起こすのもなんか悪い気が……。
だけどここで寝かせるわけには……。
『裕太、ゆーた、』
『ぅ……ん』
声をかけるも、起きようとはしない。
仕方ない……。
俺は裕太をゆっくり横抱きにして、背中と膝裏をしっかり持った。
これ立ち上がれるかな────。
座った状態からはキツいであろうお姫様抱っこ。
だけど、案外スッと立ててしまった。
おぉ……陸上部舐めんなよ……!!
いや、俺の筋肉がある訳じゃないか……。
裕太が軽いんだよ。身長が低いから軽いのは相応なんだけど、だけど────
『女子か』
俺は取り敢えず、部屋への階段を登る。
電気を消しに来るのは後でいい。
階段だから揺れるかと思ったけど、裕太は熟睡だ。
よくここで寝れるな……。
あ、子供だからか?子供だとこの時間にはもうお布団の中かな?
『くっくっ……』
いやいや、コイツだって中学生の時代があったんだ。夜更しぐらいしてただろう。
階段を登りきると、左手側が俺の部屋だ。
運良くドアは隙間が空いていて、ドアノブに苦戦することは無かった。
布団を敷いてやるつもりだったが、こんな状態だ。
俺は裕太をベッドに寝かせ、薄い掛け布団をかける。
昼間、裕太が片付けてくれた部屋は電気がなくても、何も踏まずに歩ける。
一階の電気を確認し、部屋に戻る。
と────────
『っ……やだ…………、や……』
『裕太……?』
ベッドの上で苦しそうに何かを言っている。
毛布を必死につかみ、何かから逃げるように手が空を切る。
『ゃ……やめて……おねがい…………』
明らかに様子がおかしい。
俺は急いで裕太に駆け寄って、泳ぐ手を掴む。
『おい裕太!!おい!!』
『……っ臨…………』
『はっ……はぁ、はっ……ぁれ……?』
裕太は目を見開いて起き上がった。
その目にはなんとも言い難い影が満ちていた。
『裕太?お前うなされてたぞ』
『っ、ぁ……やま……と……?』
俺の声にビクリと肩を揺らし、こちらをゆっくり見ると、ホッとしたように瞳の影が消えた。
けれど、額には少し汗が滲んでいる。
『どうしたんだ?』
『え?ぁ────怖い夢見ちゃって』
テヘへと笑う裕太は、本当に何でもないよと付け足した。
何でもないはずがない。
『いやだ』?『やめて』?『お願い』?
────『臨』?
きっとそれは只の怖い夢じゃない。直感がそう言っている。
そういえば裕太は度々、変なことを呟く時があった。
それと、棚がぎっしり詰まった資料室や図書室をとても嫌っていた。
目の前から覆い被さられるのも嫌いだった。
なんだろう───裕太には何かある気がする。
裕太がとても怖がっているものは何だ───?
この時からだろうか。
愛おしいという気持ちと同時に、裕太を守らなければいけないという感情が湧き上がり、それはいつしか────────
恋心になっていたんだ────────。
「お前が、ずっと好きだった」
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