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青春狂走曲14
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(神田紘斗語り)
「今、時田先生から怒りの電話があった。お前らは彼に何を言ったんだ。最初から説明しろ。まあ、大体は想像つくが。」
ピクピクと熊谷先生の眉毛が痙攣していた。
全く関係がないのに散々怒られたらしい。申し訳なく感じ、正直に話そうと心を決めた。正座に慣れていないので、硬い床に足が痛いけど、なんとかなる。
「あの……」
「神田が、デブに連れてかれそうになったから、助けようと叫んだだけ。僕は悪くない。勿論神田も悪くない。悪いのはデブ。」
島田さんが口を尖らせてサラリと言って退けた。デブと聞いた熊谷先生は、自身のおでこに手を当てて溜息をつく。
あの熊谷先生に臆することなく意見を述べるあたりが、もの凄く勇者だ。
「文化祭の最中に悪い子だとか言って連れて行こうとしたんだよ。怪しいことこの上無かった。だってさ、熊谷先生に助けて貰おうと思って電話したけど、出なかったし。葵君とナニしてたのか知らないけどさっ、僕は謝らないから。デブが謝るべきだ。あと、電話に出なかったエロ熊谷も謝るべき。制服姿に盛りすぎ。けっ、変態め。」
島田さんは一歩も譲る気が無いらしい。そして、こういうやり取りには慣れているのか、熊谷先生は少しも動じない。
後ろで他人事のように笑う葵さんと片桐先生の笑い声が聞こえても、誰も何も言わなかった。
「神田も島田の言う通りだと思うか?」
「ええ、まあ大体はそうですけど、デブとかキモいとかは言い過ぎだったと思います。」
熊谷先生が大きく息を吸い込み、パンと大きく手を打った。座りながらペコリと頭を下げる。
「まず、電話に出なかったことは謝る。それは悪かった。俺だって忙しくて出れない時もある。」
「葵君にやらしいことをしていたくせに。」
「うるさい。島田は黙って聞け。だけどな、本人が1番気にしている『デブとかキモい』を大声で言ったのはお前らが悪い。地雷を人前で派手に踏んだんだ。おまけに立場は向こうが有利で、収拾がつかないくらい怒っている。さっきの電話で怒りはかなり収まっただろうから、後で俺が代わりに謝っておくわ。2度目はないからな。」
「当然でしょ。でもさ、神田はあのデブに時間の問題で掘られるよ。どうすんの?生徒が襲われるのを黙って見てんの?」
島田さんの言葉で、周りの4人の視線が一気に俺に集まった。
え、俺が掘られる?何?意味が分かんないよ。何でどこを掘るの?
「ああ、それも考えてたんだが、ここでいい案がある。時田先生は確かに変態で最低だと思う。神田が気の毒だ。目には目を歯には歯をということで、神田は片桐に守って貰おうと思う。片桐先生は、適当に付き合っていた彼女を妊娠させて逃げるような最低な男だ。ここは、最低同士戦って貰おう。」
「…………はぁ?なんで俺?」
ギャラリーに落ち着いていた片桐先生が急に名前を出されて驚きの声を上げた。
そして俺も内心かなり驚いていた。どうせなら葵さんには悪いけど熊谷先生が良かったな。本当は牧村さんがいいけど。
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