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「あー、さむっ」
十月下旬。
マフラーとコートを纏った山本が教室に入ってきた。明らか寒そうに。
「おはよ。朝練お疲れ」
「おぅって、お前相変わらずセーター一枚かよ」
「うん。そんな寒くねぇし」
「マジか。まぁ、お前子ども体温だもんなぁ」
どー言う意味だよ!
そう言って座る山本は俺を横目に見ながら付け足すように続けた。
「見た目も中身もガキのくせに、体だけは大人になってるなんて知らなかったけどなぁ」
なんて言う口元はなぜか緩んでいる。
(ま、まさか……!)
嫌な予感に冷や汗が頬を伝う。
「その首のキスマ、また〈彼氏〉に付けられたわけ?」
やっぱり言うと思った!
「ちっがう! 虫刺されだってばっ」
即否定するけど、山本は全く信用してなく。ムカつく笑みでニヤニヤと笑ってる。もう毎日の日課になりつつある会話。
まぁ、でもほんとにキスマーク、なんだよな……。
緋結たちに見られて(それが何なのか教えられて)から、周りからは彼氏がいると固定されてしまい……。
林たちからは援交だろって言われる始末。金払って付けてもらってるだとか。
何のためにそんなことしなきゃいけないんだよ!って感じだけど。そもそもここ山奥だし!
(大体、こんなことになったのも全部アイツのせいなんだよっ)
毎週土曜日はさることながら、昨日だって人が付けんなって言ってるのに体中に付けてくるし。まさか見えるとこにも付けてるなんて思わなかったっ。
その場所を手で隠す俺に、山本が顔を近づけてきて。
「もしかしてそれつけた奴、柏原?」
「……は? なんで?」
まさかの意外な名前が出てきて、色んな意味でドキっとしてしまう。
「ち、違うけど」
「あー、だよな。だったらあんな落ち込んでねぇか……」
落ち込む……?
その言葉に疑問になる。
結局、柏原とはあの日から連絡をとっていない。学校でも会わなくなったし、休憩時間も他の遊んでいた友達や山本からバスケやサッカーの誘いは掛かるけど断ってる。
(って、俺が避けてるせいもあるのか……)
でもどんな顔して会えばいいのかわからない。
どれもこれも全部アイツのせいで!
「てか違うって、やっぱキスマじゃん。それ」
「!!」
ぁあ、俺のバカ!!
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