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「はぁ……」
昼休み。
廊下を歩きながら何度目かの深い溜め息。
あれからずっとアイツと付き合ってるってことを否定してるのに、誰も信じてくれない。
(なんでなんだよ、もう……)
泣きそう、マジで!
「……全部、アイツのせいだ」
手にした紙袋に入ってるセーラー服を横目にしながら呟く。
こんなことになるなら一人で桜姫祭り出た方がよかった。てか、そもそも千倉先生と一緒に出ようとしてたのにアイツが邪魔してきたせい!
「全力で拒否すればよかった……」
なんて思っても後の祭りで。気付いたら生徒会室に着いていた。
いるかな?
少し、緊張しながらコンコンとドアをノックすると間延びした声が返ってきた。
「失礼します」
ここに来るのは二度目だけど緊張する……。
「あ、ゆうくん!」
中に入るといたのは浪江先輩だけで、桜木先輩の姿はなかった。
(ちょっと不安……)
「どーしたの? あ、僕に会いに来た!?」
「ち、違います!」
目がキラキラと輝く先輩に即答すると、『えー』と声を上げる。
「これ、返しにきました。あと、結果発表出れなくてすいません!」
要件を伝えて早く去ろう!
そう思って、持ってきた紙袋を差し出しながら頭を下げる。
「なになに? あー、桜姫祭りの衣装?」
「はい。ありがとうございました」
これでやっと桜姫祭りがほんとに終わる。ほっと胸を撫で下ろして、生徒会室を後にしようとした。
「流木くんと女の子えっちたくさんできた?」
ぶふっ、え、急になに!?
「え、えっと……!」
「まさか結果発表来ないのには驚いたけどねぇ。あ、赤ちゃんプレイもした??」
赤ちゃんぷれ……!?
照れる様子もなく笑顔で聞いてくる浪江先輩にめちゃくちゃ動揺してしまう。
言葉からして聞かずとも意味がわかってしまう。
「ふふ♡〈アレ〉、少し媚薬も入れちゃったから来れないのも無理ないんだけどね。でも、ゆーくんのメイド服も見たかったなぁ」
「?」
あれってなんだろ。
どこか自己完結したような先輩の言い方に俺はハテナマークが脳内に増えてしまう。
そんな俺を先輩はジーッと見てきた。なぜか至近距離で。
「な、なんですか?」
少し後退さって、離れながら聞く。
「んー、ゆうくんて童顔だよね」
どうが……!
唐突にそんなことを言われて少なからずショックを受けてしまう(よく言われるけどさ……)。
「見かけによらずビッチちゃん?」
「ビッチって……」
「えっち好きな子のコト♡」
はぁ!?
「ち、違います!」
即答で答えると先輩はあははと笑った。
(笑いごとじゃない!)
「だよね! じゃあ、流木くんのタイプ変わったのかなぁ」
流木……?
「なんでアイツなんですか?」
「え、だって付き合ってるんでしょ? 流木くんと」
……はい?
固まる俺に先輩は続けて話す。
「桜姫祭りから学校中の噂になってるよー。ま、僕はやっぱりって感じだったケドねっ」
いや、何が!?
勝手に話を進める先輩に俺はストップをかける。
「どうしたの? ゆーくん」
「そ、それ誤解なんです!」
「誤解?」
まさか緋結たちだけじゃなく、先輩、学校中の噂になってるなんて知らなかった。
でも、よくよく考えてみれば(性格は難アリだけど)モテるアイツと一緒に一大イベントの桜姫祭り出たんだから騒がれるの無理ない、のか……?
そりゃ変な噂も立つ、って納得してる場合じゃない!
「俺、アイツとは付き合ってないです。エスコートいなかったから、たまたま一緒に出ることになっただけでっ」
信じてくれるか不安だったけど、誤解されたままの方が大問題だから否定だけはした。
浪江先輩の反応をドキドキしながら窺う。
「……ふーん、そっか! なんか色々事情がありそうだね」
「! し、信じてくれるんですか!?」
(やっと信じてもらえた……!)
ここにきてまさかの理解者に嬉しくなる。
「もっちろん♪ ゆーくんの言うことなら信じるよ。それに、あの流木くんが一人の子と付き合う方が信じられないもん」
「浪江先輩……」
ジーンと感動していると、浪江先輩の手が伸びてきて俺の襟元をズラすと鎖骨に触れてきた。
そこにはひとつ、ふたつと赤い痕。
「っ、」
「ふふ、流木くんのセフレってところかな?」
「……セフレ、」
俺がその言葉を繰り返すと先輩はにっこりと笑う。
「たくさんいる、性欲処理の一人だよ」
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