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「……ただいま」
「あ! おかえり、悠季くん!」
部屋に入った途端、緋結が笑顔で出迎えてきた。でも俺は笑えない。さっき勝手に、穴を開けられた右耳の違和感に顔を歪めてしまう。
「早かったね! れいちゃんと何してたの?」
「別に何も……」
頼むから今は構わないでと思ってしまう。アイツのことなんか思い出したくもない。そんな俺の気持ちを知るはずもない緋結は一番気付いてもらいたくなかった事を口にしてきた。
「あれ? 悠季くん、ピアス開けてたっけ?」
緋結の前を通り過ぎた時、言われてしまった。
「いや、えぇっと……!」
「赤色のピアス似合ってるよ」
何て言い訳しようか考えてたら緋結がそう言ってきて、勝手にされたその色が赤色だったと知る。
(なんて嬉しくない誉め言葉……)
それ以上は特に深く聞かれなかったのが救い。もう寝て忘れるしかないと思ってベッドに向かう。
「そう言えば、れいちゃんも左にしてたなぁ」
「………………え?」
今なんて?
その言葉にベッドにダイヴするのをやめて緋結の方を見る。
「アイツもしてんの?」
「うん。確か左だけだった気がするけど」
普段髪で隠れてて分からなかった。
(なら自分の耳に開けろよっ)
そう思っていたら緋結が話を続けて。
「でも右には開けないって言ってたんだよね。なんでなんだろ?」
俺が聞きたい!
「だから悠季くんの右耳とペアルックみたい!」
ぺ、ペアルック!?
嬉しそうに話す緋結とは反対に俺はマジで笑えない。
「バカな事言うな! アイツとなんて絶対ごめんだからっ」
「……悠季くん、れいちゃんの事嫌いなの?」
うっ。
嫌いだとはっきり言いたいけど緋結が悲しそうな顔するから言えなくて口篭ってしまった。
だって、この二人幼馴染なんだよな。さすがに悪く言われたら緋結でも嫌なはず。れいちゃん、てあだ名で呼ぶくらいだし仲は良さそう。
「嫌い、ではないけど好きでもない……」
「そっか、良かった! れいちゃん、性格はあれだけど悠季くんなら仲良くなれるよっ」
絶対無理だけどね! てか、性格はあれだけどって緋結もわかってんのかよ。
(なのに勧めてくるのか……)
俺は尚更憂鬱な気分に陥った。
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