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「…………………っ、」
で。結局また戻って来てしまった。
強か……じゃなくて、この場合救世主なのか?
(まぁ、どっちにしたってコイツの部屋に携帯も制服もあるから入らなきゃいけないんだけど……)
……入りたくない。ってのが本音で。
「………………はぁ……」
一つ息を吐いてからドアノブを掴む。鍵はかかっていなくて、中に入ると物音すらしない。
もしかしていない? そう願いながら部屋に入る。
「……何してんの?」
「うわぁ!!」
び、ビビった……!
部屋のドアを開けようとしたら背後から声を掛けられて、めちゃくちゃ裏返った声が出てしまった。
「変な声」
ふっと笑って、流木は先に部屋へと入る。
ど、どこから出てきたんだよ、コイツ!
「脅かすなよ、バカ!」
「お前が勝手に驚いたんだろ」
うぐっ……。
ベッドに腰掛けた流木に何も言えなくなってしまう。
「…………………………」
「…………………………」
「………………っ…………」
ち、沈黙が辛い……!
それ以上何も言わずに流木は携帯を弄っている。
(さっきのこと、怒ってないのかよ……。俺、勘違いしてたのに)
コイツから何か言ってくれたら、多少は謝りやすいのにそうそう思った通りにはいかないようで。俺は悩みながらも、この沈黙を終わらすために口を開こうとした。
「……あの、流〈♪~♪♪~♪♪~♪〉」
誰だよ、こんな時に!
せっかく言う覚悟ができたのに、タイミング悪くテーブルに置いてあった俺の携帯が鳴る。
仕方なく携帯を見ると、画面には母さんの文字。出ようかどうしようか悩んだけど、流木を見たらまだ携帯を弄ってるし、俺は通話ボタンを押した。
「も、もしもし……!」
『やっと出たわね』
電話越しからため息と共にそう言われた。
(母さんからの電話あったっけ……?)
『補習終わった? テスト大丈夫だったの?』
疑問に思ったけど母さんのその質問に聞くタイミングを失ってしまって。
「あ、うん! 終わった。テストも大丈夫だったよ」
流木のおかげだけど……。
『良かったじゃない。次は赤点取らないように気をつけなさいよ」
「う、うん」
二学期はマジでがんばろ……!
『じゃあ、明日迎えに行くから九時に校門の前でいい?』
「え、明日?」
『まだ補習あるの?』
「いや、ないけど……」
『なら明日行くから。ちゃんと支度しておくのよ』
母さんにそう言われて頷くとじゃあねと言って電話が終わった。
(明日……。そっか、やっと帰れるのか)
嬉しいはず、なのに今の状況がそれを阻んでしまう。切った後の携帯の画面を見ていると、流木が顔を上げて耳からイヤホン? みたいなのを取る。
(え、コイツ音楽聞いてたの!?)
線なしだったから全然わからなかった。
「明日帰んの?」
「え、あ、うん……」
「九時?」
「そうだけど……」
あれ? 俺時間まで言ったっけ?
なんて思っていると流木がまた携帯を見る。
「……完了」
それだけ言って満足そうに笑う流木。よくわからなかったけど、今だ! と思って俺はもう一度口を開く。
「あ、あの流木っ」
名前を呼ぶとこっちを見てきた流木と視線が合う。
(ああぁ、緊張する……!)
「さっき、千倉先生たちから話聞いてきたんだ。……その、色々誤解しててごめんっ」
「……………………………………」
頭を下げて謝る。流木がどんな顔をしてるかわからないけど、そのまま話した。
「俺、てっきりお前が亜宮先輩とグルで嫌がらせしたのかと思って……。だけど、まさか助けられてたなんて知らなかった」
千倉先生の言葉通り、普段のコイツの行いが悪いせいで未だに信じられない。
(でも今日まで面倒みてくれたのも事実で)
だから、
「……その、あ、ありがと……!」
最後は顔を上げて言う。けど、恥ずかしくてすぐ逸らしたけど!
「じゃ、じゃあ俺帰「お前、俺とした事も聞いたの?」」
背を向けようとしたらいつの間にか立ち上がってた流木に腕を掴まれてしまう。
「し、したことって……」
「セックス」
「っ……!」
その一言に顔がボンッと熱くなる。何度聞いても慣れない。
そんな俺の頬に流木の手が触れた。
「き、聞いたけど! でもあれは薬がっ、だから事故なんだよ!」
動揺し過ぎて言葉が変になる。
「忘れていいから! 俺も覚えてないしさっ」
あははと笑ってこの話題を終わらせようと頭を巡らす。
(えっと、何か──。あ!)
「それで、俺の服ってどこ!?」
無理矢理な気もしたけど、自分の部屋に帰るには一番必要な物で。
これでホントに帰れると思った。もうコイツの部屋に来ることもないって。
なのに、やっぱり現実は思い通りにいかなかった。
「って、聞いてる? 流「無理」」
え……?
何も言わない流木に声を掛けたらまた遮られて、腕を掴んでる手の力が強くなる。
「覚えてないなら、俺が思い出させてやるよ。悠季、」
はい?
ニヤリと嫌な笑みを浮かべる流木に後ずさってしまう。
(だって、思い出させてやるって……!)
「いや、何言って!」
「俺のせいにされて、散々嫌いって傷付けられて。面倒みてやった礼も無し?」
「う、わっ……」
腕を掴んだまま近付いてきた流木に、背中が部屋のドアにぶつかる。
(なんか、ヤバい展開な気がっ)
冷や汗が流れる俺にもう片方の空いてる手を頭上に置いてきた。
「今度は、ちゃんと刻み込んでやるよ。お前の記憶にね」
「なっ……」
ぜ、前言撤回!!
やっぱ、救世主なんかじゃなかった!!
そして何度目だよ、この展開……。
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