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春輝の過去4
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その人とは、会えば時々会話をしていた。
「今日は一日雨でしたね…、大丈夫だったんですか?」
「大丈夫ですよ。公園にも屋根がある所があるんです。結構快適なんです」
いつもフードを深く被っていて、前髪で隠れて顔も半分くらいよく見えない人だった。
でも、話すときには時々笑顔を見せてくれた。
静かな笑顔だった。
「そういえば、俺まだ名前を聞いてませんでした…、何て言うんですか?」
「……………名前…….、自分にはそんなもの、名乗る資格はないんです」
そう言ったその人の言葉は不思議だった。
「……名前、ないんですか?」
「…そういうことにしてもらって構いませんよ。」
「……じゃあ、俺が名前付けていいですか?」
「……………え?」
「そうだなぁ……お兄ちゃんって呼んでも良いですか?」
「お兄ちゃん………!?」
「そう!俺ね、お兄ちゃんが欲しかったんです!だから、お兄ちゃんみたいな貴方のこと、お兄ちゃんって呼んで良いですか?」
「……良いですよ、貴方の名前は?」
「俺は春輝です!春輝って呼んで下さい」
「分かりました、よろしくお願いします…」
不思議なお兄ちゃんとの出会いだった。
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