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命
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『腹ん中のソレ…今から殺すから。』
『お前じゃ僕の子供は生めない。』
この言葉は、私を怒らせるのに十分過ぎる材料だった。
心にひどく突き刺さり頭の中をぐるぐる駆け巡る。
吐き気や倦怠感を忘れ、私は白澤に向け金棒を振りかざした。
「命の尊さすら忘れたか。
アルツハイマーもここまで来ると笑えねぇぞジジイ。」
「はは、敬語忘れてるよ鬼灯。
て言うかこれがアルツハイマーに見えるの?
……まぁそれでも僕は別に構わないけどね。」
ヒートアップしていく殴り合い。
それでも鬼灯は腹だけは守り続けた。
部屋がぐちゃぐちゃになり、足の踏み場が無くても白澤は攻撃を続ける。
きっと部屋の外に結界でも貼られているのだろう。
これだけ音を出していたら誰かしら見に来るはずだ。
殴り合っていくうちに鬼灯は壁へと追い込まれた。
相手は神獣。しかも今鬼灯は悪阻絶頂期の上左腕で腹を守っており、右腕しか使えなかった。
「悪いけど、これだけは譲れない。子供を降ろせ。」
「残念ですがその願いは聞けません。お帰り願います。」
白澤は何度も腹めがけて拳を振りかざした。
だが、それでも鬼灯は腕と脚を犠牲にし、腹を守った。
「お願いだから言うこと聞けよ!!」
「だから聞けないと言ってるでしょう!」
鬼灯の細く真っ白だった左脚は既に紫色に腫れ上がっており、見るに耐えない状態だった。
「お前じゃ生めないって言ってんだろ!!」
「貴方に、そんな事を決められる筋合いは無い」
鬼灯はキッと白澤を睨む。
悔しそうに顔を歪め俯く白澤を前に壁に沿い、少しずつ離れ逃げようと試みた。
「……お前何かが……ッ子供を育てられるわけないだろ!!
少し考えれば分かる事だ!!」
「…ッ……うるさい!!そう簡単に殺させてたまるか
まだ生まれてもいない生命だ…貴方の思い通りになると思うな」
「お前に何が分かるんだよ!!」
白澤は拳を握り締め鬼灯の頬を殴る。
脳天まで重く響く鈍痛に耐え、鬼灯は白澤の腹を蹴り返す。
「自分のややを殺す神の事など分かりたくもない!!」
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