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気持ちがわからない 4
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広い肩幅の祐也に抱き締められ、自然にドキドキと胸がざわつく。
抱き締められたせいで、祐也の服からこの部屋と同じ柑橘系の香りがダイレクトに鼻についた。
「…ゆ、祐也……?」
まだ追いつかない頭で必死に考える。
祐也が抱き着いてきたことは何度かあったが、冗談だってわかるような軽いハグだった。
でも今日のはどこかいつもと違っていた。
祐也に、こんなにきつく抱き締められることはなかった凪は戸惑いの色を隠せない。
「…ちょ…ゆ、祐也…」「よかった」
離れるよう促そうと声を掛けたその時、祐也の声が重なるようにして放たれた。
「…ゆ、うや…?」
「凪が無事でよかった…」
心から安心したような声が祐也から吐き出されると凪は抵抗を止めた。
こいつ、俺のこと心配してくれてたのか……?
「……たく、心配性な奴だな…」
凪はここまで心配してくれた祐也に申し訳なさを感じ、祐也の背中に腕を回すとぽんぽん、と広い背中を叩いた。
暫く長い沈黙が二人を包む。
「…それより、凪アイツと付き合ってんのか?」
「あ、あいつ…?」
「あの性格悪そうなイケメン」
「ぶほっ!…な、何言ってんだよ!なわけないだろ!」
「ほんとか?俺、凪は渡さないとか言われたんだけど」
「な、なななっ、!ばっ、馬鹿かお前っ!お、男同士だぞ!なわけないだろっ!」
斎の野郎…!んなこといったのかよ!
「……ふーん」
「な、なんだよ…」
「ま、いーけど」
祐也はそう言うと凪の身体を更にきつく抱き締めた。
「…ちょ、あの…ゆ、祐也…?」
「なに?」
「…そろそろ離してくれませんか…?」
なぜ敬語なんだと自分につっこむ。
「やだ」
「即答なのね」
少しだけだぞ、と凪は小さく溜め息と共に吐き出した。
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