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大学に着いて、まもなくして講義が始まった。
裕也に会うことを覚悟して行ったのだが、そこに裕也の姿はない。大体、受講しているものは同じなので、そこに裕也の姿がないのは不思議に思ったが、正直、ほっとしていた。
気楽に授業を受けられる、と思ったそのとき、スマホにメッセージが届く。
『今どこいる?』
祐也の文字を見て、一瞬どきりとする。
『大学だけど』
簡素なメッセージを送信する。すぐに既読になった。間髪入れずに『待ってて』と、返信があった。
どうやら今から来るようだ。どきどきと、謎の緊張が走る。会ってどう接すればよいか、上手く笑えるか、など頭のなかでシュミレーションしては、これは違う、あれも違うと、想像しては消してを繰り返していた。
そうこうしている内、右後ろのドアが開いて、あの金髪が目に入る。俺を探しているのか、辺りを見渡している。遠目からでもわかる、鼻梁の高さに、綺麗な二重、薄い唇は形も良い。裕也の登場に色めく女子たちは少なくなかった。そんななか、凪を見つけた裕也の表情が、一瞬で笑顔になると、一目散に駆け寄ってくる。
「凪!今日はちゃんと学校来たのな」
「偉いじゃん」と頭を撫でられる。
なんだか、やはりいつもの裕也じゃない。なんというか、スキンシップが激しい気がする。
不信そうに見上げるが、裕也はにこにこと笑っていて、俺の右隣の席に腰をかけた。
「なぁ、凪。今日俺ん家泊まんねぇ?」
「…は?な、なんで」
「ん〜、凪に見せたいものあるんだよね」
「見せたいもの…?」
「そ。じゃあ、決まりな」
「え、ちょ、ちょっと待って」
「いいじゃん。…あ。それとも、何かされるかも、とか思ってる?」
にやりと意味深な笑顔を向けられる。
「っ!そんなこと思ってねぇし」
正直、図星だった。いまの裕也は、俺の知っている裕也ではないような気がして。だから、またキスをされるのではないか、と否が応でも意識してしまっていたのだ。
「あそ。じゃあいいよな」
まんまと乗せられたような気もするが、見せたいものがある、とは何なのか、気になった。
裕也は幼馴染だし、俺の考えすぎってこともなくは無い。いつも通りの俺でいれば、相手も変に意識することはないだろう。きっと、多分だけど、俺の思い違いだったのかもしれない。そう考えると、一気に緊張が解けた気がした。
「でも、急で着替えとか持ってきてないから一回帰んなきゃ」
「いいよ、俺の貸すから」
「下着は?」
「新しいのあるからそれ履きなよ」
「じゃあ、そうする」
「ん」
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