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走る。
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冷たくなった鼻を手で覆う。
この季節に、屋外で体育とかふざけてるだろ。持久走とかこの世からなくなればいいのに。
見るからに体力がなさそうなキモ川は、ジャージの袖から手を引っ込めてブルッブル震えてる。人間バイブレーション。
「お前⋯走ったら死ぬんじゃねぇの」
「えっ、そ、そんなことないよ」
とか言いつつ歯をガタガタ鳴らしてる。ウケる。
「はは。鼻真っ赤だぞ。」
「!!」
「つーかメガネ取らねぇのかよ。お前体育バスケん時もメガネしてただろ。」
「あ⋯僕メガネ取ると本当に何も見えなくなっちゃうから⋯」
「へーぇ」
「うん⋯人の顔とか、全然見えなくて誰が誰だかわからなくなる⋯」
こういう眼鏡族の不便話を聞くと、まじで目ェ悪くなくてよかったなって痛感する。一生かけたくない。
持久走は、タイムの遅い組と速い組にわかれ、遅い方が先に走ることになっている。俺はもちろん学年でもトップクラスの記録を出しているため後半の速い組になるが、遅い速い関係なく持久走は大嫌いだ。
「上谷さ、下川と仲良かったっけ?」
同じ後半組のやつが俺に問掛ける。
「別に。ただのパシリ。」
「だよな〜!いや、さっき仲良さげに話してたからさ。珍しいなって。」
キモ川は前半の遅い組なので、今死にかけの魚みたいな顔して走ってる。
確かに、あんな目立たない奴と俺が仲良さげに話してるのは、周りのヤツから見たら不自然だろーな。
「あ、下川倒れた」
「は?まじで?」
「ホラ、先生に運ばれてる。」
「まじだわ。何してんだアイツ。体弱すぎだろ」
「ほんとにな⋯って、どこ行くんだよ!?上谷!!」
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