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はちみつ買いに
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「あさにぃ、今日のご飯は?」
大学からの帰り際、抱きつきながらそう聞いてきた薫の頭を撫でながら、オムライスだと答える。
「やった!大好き!」
その笑顔を見て、正解だったと俺も頬を緩めた。
「あ、卵の特売……」
家に帰ってそのことに気づき、薫にダッシュで買ってくると家を出た。
「スーパー近くて助かった…!」
特売という言葉は、世の主婦達を豹変させる。
これは、自炊をし始めて気付いたことだ。
正直もうないだろうと諦めていたのだが、運良くあと数個残っていた。
それを一つとってレジへと向かっていると…
「……ん?」
ふと、視界の端に映った人影が気になった。
あれは…
今日始めてあった奴。
俺の育てた花を踏んで寝てた奴。
高い身長に、酷く整った顔。
真顔だが、なんだか何か悩んでいるその姿を見て、視線の先にある陳列されている商品は、、
『はちみつ』
微かに頬が緩むのがわかった。
あんな態度だったが、俺の言うことは気にしてくれたらしい。
たくさんの種類があるから、悩んでるってとこかな。
静かに横から近づくが、そんな俺に気づく様子はない。
「……….、」
「これ、」
難しい顔をして悩むその男に、
「俺のおすすめ」
俺がよく使う商品を差し出した。
「………」
商品と俺を交互に見る。
ゆっくりと俺の手から商品を取り、俺の顔を見て短く言った。
「ありがとう」
そしてそのままスタスタとレジへ向かうソイツの背中を見届けた。
「なんだ、悪い奴じゃねぇじゃん」
ふっと顔を綻ばせながら俺も、早く家に帰らなければ薫が待っているとレジへ向かった。
スーパーから出た時、さっきのアイツが壁に寄りかかっていて、待ち合わせかイケメンめ、と思ったが
「………」
「………え、?」
立ち塞がられていることで、標的は俺かと悟った。
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