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変化(8)
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~ Kousuke’s side ~
自分の気持ちがわからないと言った。それでも、俺と付き合うことに決心をしてくれた。きっとこれは、質の悪い夢なんじゃないか。目が覚めれば、誕生日の前日に戻ってしまっているのではないか。そう思ってしまうくらい、こんなに早く手に入れれるとは思っていなかった。
幸せすぎて、胸がはち切れそうなぐらいだ。無理に挿れたせいか、じんじんと響くこの痛みが現実だったことを教えてくれる。自分から誘ったんだがな。俺に気遣ってか、夕飯を俺の代わりに作ってくれている後ろ姿を眺めながら、さっきの出来事の余韻に浸る。あの手が、俺の体に触れたのか。あの唇に、舌に触れたのかと思うとまた中心が熱に帯びていく。
正直、初めて挿れられた感想は痛かった。ちゃんと皐月はその事を予想して、優しく念入りに解してくれようとしたが、俺にそんな余裕はなかった。早く挿れてほしい、早く形として皐月の物になりたい。その事で頭はいっぱいだ。今まで、何人かと付き合ってはセックスをしたけれど、全員女性だったし、勿論俺がリードするわけだからアレだったけど…。草食系に見えて、キスが上手すぎで。啄むようなキス、絡め合うキス、一方的に口内を侵されるキス。それら全部、脳がとろけてしまいそうなほど、理性をなくしてしまいそうなぐらい気持ちよかった。
けれど、それと同時に嫉妬が芽生えたし、皐月が余計な事を言うから、ちゃんと解さないまま自ら腰を落として挿れれば、想像していたよりも痛くて戸惑ってしまった。それでも、皐月が自分と繋がっているという状況に幸せと興奮を感じたし、痛くないと意地を張れば、お見通しだったようで休憩しようと言う優しさに、また好きが募る。
好き、もう手放せない。誰の視界にも入れさせたくないし、皐月の瞳に俺しか写ってほしくない。その手で、他の誰かに触れてほしくない。ずっと繋がっていたい。そうすれば、俺から離れていかないような、逃げられないような気がした。
「食べる前に、服持ってきたから着てください。」
「あぁ。ありがと。」
腕まくりをしているせいで見える、血管の浮き出た白い腕と手。俺の腕も血管は浮き出ているけど全然違う。骨ばったその手に、さっきイかされたのか。
皐月でも余裕のなさ気な、獲物を見るような目をすることを知った。その目で見下され、イかされた快感は凄かった。気を使った優しい手つきも動きも、全てが愛おしく感じた。正直、1回だけじゃこの思いは満たされないんだがな。それに、中出しを避けやがった。俺が腹を下さないようにとの配慮だと聞いても、納得いかない。あと、勝手に抜いたこともな。
そんな俺の思いをスルーして、横で呑気に飯を食いやがって。しかも、ちゃんと俺が紅しょうがを大盛りで入れることも覚えて嫌がって。
俺の視線に気付いてか、目にかかるほどの長い前髪の隙間から、こちらを見る目が見える。色気ありすぎだろ。
「何ですか。」
「さっき、可愛いとか言いやがって。調子狂う。」
「そう言いつつも、顔は緩んでますけど。」
「何もなかったかのような顔しやがって。」
「そんなつもりはないですけど…。」
食べかけの皿と、箸をテーブルに置いて手が顔へと伸びてくる。そして、顔を掴まれて横を向かされたと思えば、目の前に皐月の顔があって、心臓がバクバクする。
「顔、こっちに向けたらどうです?」
「ッ。」
「…何か、反応変わりましたね。」
確かに、前だったら皐月に少しでも意識させようと、好きになってもらおうと必死だった。でも、俺だって好きでこんな反応をしたいわけじゃない。それなのに、体が勝手に暑くなるし、心臓が破裂しそうなほどドキドキするし、息が荒くなる。なんでだ。
「初心にでもなったんですか。あんなにも、自分から積極的にしていたのに。」
「…そんなんじゃねぇよ。」
「第二ラウンドはしませんからね。」
「ん。」
したかったけど、正直今日したら身が持たないだろう。今でさえも、危ないのだから。多分、皐月があぁいう顔をするとか知らなかったからだ。今までだったら、やる気なさそうな気だるけな感じとか、嫌そうな顔とか、泣き顔とか。なんというか、こう、襲いたくなるような表情ばかりで。だから、初めて見た表情に俺の中の何かが目覚めたんだと思う。
皐月は、草食系ぶった肉食系だったんだ。
「こりゃ、好きすぎて死ぬ。」
「何ですかそれ。」
「いつかお前にもそう思わせてやる。」
「へぇ。」
すっかり、いつものどうでも良さげなあしらい方に戻っていやがる。
どうやってそう思わせようか。家事が出来ても、お金があっても、何もしなくていい空間を作っても、皐月にはきかない。俺の体に依存させるか…、ってのは無理だな。少なくとも、可能性を上げるには感度を高めることと、最中の余裕を必要とする。が、当分の間それらは無理だ。
とりあえず、今回は知識不足だった。どうせ、一緒に風呂に入ってくれないだろうから、皐月が風呂に入ってる間に、どうすれば自分も相手も気持ちよく感じられるのかを調べないとな。まぁ、俺の場合は触れられるだけで、キスだけの時点で良かったけど。そもそも
、皐月好みの体になるには筋肉を落とすベきか。身長と外見はどうにもならないし。
あれか、皐月は今時のジェンダーレスってやつが好きなのか?あの中性的な感じの若者が。いや、でもそうなると30になったおっさんが仮にそれに近づけたとしてもな…。
「余計なこと考えなくてもいいですからね。」
「何だ。」
「そのままでいいってことです。」
このままでいいと言っても、それだと進展出来ないだろ。俺は、お前に好きになってもらわないといけないのに。
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