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変化(14)
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昨日よりは、体調も良さそうだし本を読むぐらいなら良いだろう。ご飯も、普通に食べていたし。それに、俺が仕事している後ろにいるから、何かあったときにすぐ気づける。
今日も、朝からチャットが飛んでくる。今日は康介さんは家にいる為、送り主は飯塚さんだ。個人の方で送ってくる事が多く、ご飯を誘われたり、たまには会社に顔を出さないのかと聞かれたり。まぁ、このことは勿論康介さんには言っていないけど、きっと気づいていると思う。朝一で送られてきたのは、明日から入ってくる新入社員は4人で、まだ計画段階だけど歓迎会をするので、俺も顔を出して欲しいとのこと。
…知らない人がいる場って苦手だけど、行ってもいい。でも、その前に後ろに座っている人からしたら俺が参加したら嫌だろうな。それに俺は在宅だから、そんなに顔を合わすこともないだろうし、行かなくてもいい気もする。とりあえず、参加不参加の返事は後のばしにさせてもらい、仕事に取り掛かる。
ディレクターは菊池さん、デザイナーは俺、フロントエンドは中原さんっていう妻子持ちの優男の人、バックエンドは生駒さんっていう兎に角真面目な人の4人チームで1つのサイトを制作している。今しているサイトは、コメディ映画のサイト。…コメディ映画観ないから、レイアウトは貰っているとはいえ、手が止まってしまう。映画のサイト、コメディ系の本や映画、ドラマのサイトなど色々検索しまくって、情報収集する。
配色はなんとなく決まっているけど、面白い、楽しい感じのサイトってのが中々ピンとこない。暗い映画とか、感動系の映画はよく見るんだけどな。でも、俺でかなり時間をとってしまうと、フロントエンドとバックエンドが遅れてしまう。それにデザイナーと言っても、他のチームは知らないけど俺の場合はHTMLとCSSとjQueryも担当範囲だし。
この仕事が終わったら、次はアーティストの公式サイトのリニューアル。最近、勉強してなかったからしないとな。流行とかも調べないとだ。
ある程度のデザイン案がまとまって来たら、とりあえずそれをPhotoshopで組んでいく。デザイナーでも、俺は絵があまり得意じゃないので、ちゃんとどんなイラストが欲しいかさえ決まれば、社内のイラストレーターさんに頼むことができる。
「ちょっと、邪魔しないでください。」
「なんか、こうしてお前が仕事をしている姿を見るのは久しぶりだなと思ってさ。」
「まぁ、そうなりますね。」
悶々と考えていると、後ろから抱きつかれる。仕事中は邪魔をしないでほしい。
「相変わらず、アイデア案のグチャグチャさ。」
「悪いですか。とりあえず、思い浮かんだものを書き出してまとめていくんです。」
「いや、悪いどころかいいと思うが…。普段のメモとかはきれいな字で書かれてるのに、殴り書きだな。」
「自分がわかったらいいだけですし。ほら、ソファに行ってください。仕事の邪魔です。」
そういうと、流石に仕事中だからか素直にソファに座るものの、じーっとこちらを見ている気がするが無視して仕事をする。部屋には、俺がキーボードを叩く音だけ。かまってあげたいけれど、仕事は仕事だ。
しばらく没頭していると、あらかじめセットしていたアラームが昼だと知らせる。長時間の同じ体勢で固まってしまった体をグーッと伸ばし、後ろを向くと本を持ったままうたた寝している康介さん。どうりで静かに仕事が出来たわけだ。起こさないように、物音に気をつけながらうどんを茹でる。いつもなら、康介さんが用意してくれたご飯を、時間に気づいたときに食べる。下手すれば
、2時とかに気づくときもある。
「康介さん起きてください。」
「仕事、終わったか?」
「昼ごはんですよ。」
「ん。」
待ってましたかと言わんばかりの顔で、両手を名一杯広げ抱きしめろと無言の圧を送ってくる。まぁ一回邪魔はされたけどおとなしくしていたし、仕方なくその指示し従い抱きしめてやる。
「うどん作りましたから食べましょう。」
「はーい。」
ピッタリと隣にくっつかれて、正直食べづらい。
「康介さん、俺って新入社員の歓迎会って参加したほうがいいですか?」
「ん?菊池から聞いたのか?」
「いや、飯塚さん。」
「…絞める。」
「俺って、在宅なわけですし。」
「参加させる気ではいる。」
てっきり、飯塚さんに会わせたくないとか言って、参加しなくていいのかと思っていた。飯塚さんから聞いたと素直に言っただけで、この反応だし。…俺が飯塚さんから個人の方にチャットが送られてくることは、黙っていた方が良さげだな。
「お前も社員であることに変わりはないし、いつかその新入社員もお前とチームを組むことあるだろうし。嫌だけど。」
「嫌だけどって。でも、どうせ俺はそんなに話さないですし。」
「飯塚もそうだが…、注意しないといけなさそうな奴が入ってきたんだよ。」
「いや、その人を選んだのは康介さんじゃないですか。」
「仕事面、コミュニケーション能力に関しては良さげだったからな。…なんか、似たようなオーラを感じるんだよな俺と。」
「何が嫌なんですか。」
「…お前に会わせたら好かれそう。」
いや、そんな事はないだろ。一つの会社に同性愛者なんて、そんなに集まらないだろうし。会うのは年に一桁ぐらいだろうし。康介さんが自分で似ているというのだから、相当なんだろう。少し気になる。
「絶対、そいつの方に行くなよ。」
「行きませんよ。」
「飯塚も駄目だからな。ベタベタしてきても、無視しろよ。」
「いや、無視はできませんから。」
行くなよの前に行かせないくせに、よく言う。
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