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17ミッションについて(中也)
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「中也、次の任務は私とだからいいけど、それ以外もあるだろう?今まではどうしてきたんだい?」
太宰はサンドバックに蹴りを入れながら、こちらに話しかけてくる。
幹部が使う訓練場は、部下の物とは違い、部屋も隔離されている。
なので、ここにいるのは俺と太宰だけだ。よって、この話を誰かに聞かれる心配もない。
「……怪我のままやってきた」
「わぁお!!君って本当に狂ってる!!」
「手前には言われたくねぇよ!!!!」
俺はベンチに座り、太宰の動きを見る。
こいつぁ、武術体術っていうより、知識と予想とかの頭脳、銃とかの武器系だからな。こっちを鍛えとかねぇと、前線では危ねぇ。
……つっても、俺に劣るぐらいで部下の比じゃねぇけど。
「でも、それって結構なハイリスクじゃないかい?」
「上手くやれば、ミッションでの傷と偽って他の傷も治療出来るからな」
それでなんとか繋いできたこの身体だ。今更対処になんか困らねぇよ。
「……中也、あの男達について質問をしてもいいかい?」
サンドバックに、強めの蹴りが1発入る。
訓練室中に乾いた音が響いた。
「……あいつらはボスのお気に入りだ。部下にも幹部にもやらせたくない事や、国外での闇ルートなんかに詳しいことで雇ってるんだ。」
割のいい仕事で、自分たちがマフィア傘下にいる限り、自分たちのやってる他の仕事は絶対に漏出しないし、何より安全が保証されているようなもんだ。
だからあいつらは、俺ら以上にボスには逆らえない。
「それと君がどういう関係が?女の好みで揉めた?」
「いい加減其の減らず口塞ぐぞ」
「あいつら、ボスに秘密の糞危ねぇルートで仕事してやがって、俺がそれをボスに報告しちまったんだよ」
元々は国外闇ルートの詮索をしていたが、偶偶同時に掛かったルートにそいつらがいた。
俺はそれを知らずボスに報告すると、一応そいつらは危ない目にあったらしい。
「ふぅん。何故ボスは処分しないのだろうねぇ。」
回し蹴りが、サンドバックを甚振る。
ムカつくことに、足の長い太宰とサンドバックの距離は結構あった。
「知らねぇよ。見た目以上に使えんじゃねぇの」
でかい図体を持て余してるだけの奴らじゃねえってことぐらいは分かってる。寧ろ体感してきたのだ。
「でも、中也が報告すれば抹消されるんじゃない?」
「あのルートで通ってる奴はなかなか捕まらねぇんだ。そう簡単にはボスは離さない。」
「いやぁ、ボスは部下想いの善い人だよ?」
そんなことは知っている。だが、ボスが好きなのは使えて強くて便利な駒だ。
使い捨てだったらあいつらを捕まえとく理由がない。
「明日の任務……どんなのだっけ……?」
「うちのマフィアと敵対関係にあるNo.12のファミリーが、良い情報網を掴んだらしい。その情報押収と殲滅だ。」
『殲滅』……それは=『抗争』になるということだ。
最近堕ちてきたNo.12ファミリーだが、油断はできない。
事実、この傷だらけでは一戦を凌げればマシな方……と言うぐらいの抗争にはなるだろう。
「中也大丈夫なのかい?それは引き受けて」
「もうとっくの前に引き受けたミッションだ。仕方ねえ。」
今更、『矢張り無しで』なんて軽く断れる世界だったら苦労していない。
「それに、今回は……」
「ん?」
俺の言葉に太宰はサンドバッグを蹴るのを辞めた。
「手前が居るから何とかなるだろ」
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