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彼との時間が欲しくて5
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帰り道。
浩太と肩を並べて歩いていると後ろから佐久間が追いかけてきた。
「葉月くんっ!僕も一緒に帰っていい?」
隣にはもう一人のクラス委員も一緒だ。
俺はそっと溜息をついた。
浩太がここでも“いいよ”と答えるのはわかっていたから。
相手が自分に好意を寄せてくれてる人ならば誰に対してもきっと彼はそう言うに違いなかった。
チラリと浩太に目をやればニコリと笑顔を向けられる。
浩太の笑った顔が好き。
ただこの笑顔も俺だけの特別ではないんだと思うと気持ちがどんよりと暗くなった…
「駅までだけどいい?その後はちょっと用事があるから」
案の定、視線をそのまま佐久間に移すと、浩太は優しくそう言った。
「えーなんだぁ?お家に遊び行きたかったのにな」
「ごめんね、、」
用事か…
そっか、今日は用事があったんだ。
佐久間の誘いを断ってくれたのは嬉しいけど、ちょっと残念。
せっかく二人でいられると思ってたのに…
浩太のメールを思い出して肩を落とす。
結局二人だけの時間なんてなかった。
…そんなわけで、俺たちは四人で帰ることになった。
佐久間と同じクラスのもう一人の彼は、富田 優(とみた すぐる)というらしい。
顔に合っていないのか、地味なメガネをずり上げるのが癖のようだ。
二人は中学も一緒だったらしく、端から見た限りでは分からないけれど、意外にも仲はいいみたいだった。
佐久間が主に話をして、それに浩太が相槌を打つ。
互いのクラスのことなど話していたら駅まではあっという間だった。
その間、俺は何度佐久間に睨まれたことか…
あからさまに敵視されているのを感じてさすがに萎縮してしまった。
逆方向だという二人と別れて再び浩太と二人になる。
やっと二人きりになれたのにもうさよならか…
俺はもっと一緒に居たいという気持ちをグッと押し込めて浩太を見た。
「今日、用事あったんだ、、?」
浩太が振り向く。
「ん?…あぁ、今日は佑真とデートなんだ」
「あ、え?」
俺とデート?
浩太の言葉に頭上にはてなマークが浮かぶ。
そんな約束をした覚えはなかったけど…?
「二人になるの久し振りだから、、嫌だった?」
「い…やじゃない///」
嫌な訳が無い。
諦めていた分、余計に嬉しさが込み上げてくる。
もしかして少しは俺のこと特別に思ってくれてたりするのかな、、とか勘違いしてしまいそうになる。
「よかった」
浩太の笑顔につられて俺もふにゃりと頬が緩んだ。
「…って言っても特に何にも決めてないんだけどね、、佑真はどこか行きたいところある?」
浩太に瞳を覗かれる。
行きたいところ?
行きたいところは…
「浩太の家、、じゃダメかな?」
「うち…?」
うん、と首を縦に振る。
突然現れた佐久間の存在に気持ちが焦る。
街で一緒に美味しいもの食べて、買い物をして、恋人のようなデートもしてみたい。
だけど今は誰よりも近くにいたいから、、
だから早く浩太と繋がって安心したい…
でもそんな焦りを見せたくなくて、俺はぎこちない笑顔を作ると、浩太に「家でゆっくりしよ?」と微笑んだ。
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