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地味に傷つく俺をそっちのけで丁度空いた席を確保し、トラ達は早く昼飯食おうと厨房の方へ向かう。俺も慌ててそれについて行った。
ここはあっちと違って全テーブルに注文用のタッチパッドなんか設置されていない。ウェイトレスなんかもいない。
厨房の前に発券機が置いてあり、そこで券を買ってから厨房の人に渡すという学生食堂らしいスタイルだ。
やっぱりこっちの方が俺にはしっくりくる。
発券機に書かれたメニューを見ると、うどんやラーメン、カレーライス等々、庶民に馴染み深いものがお手頃価格で用意されている。
そうだよこれこそ学生の昼休みに相応しいお昼ご飯だよ!
ナントカ仕立てのナントカカントカ、とか、ナントカカントカのナントカ風とか……よく分からん長い名前の割には3口分くらいしかない料理より断然こっちだよ!
あれもすごく美味しいとは思うけど!
見ただけで理解できる料理名の羅列に若干の感動を覚えながら、入学して以来その名を見ることも叶わなかったきつねうどんのボタンを押した。
お金持ちは麺類はパスタしか食べないのか、向こうのメニューにはパスタしかなかったのだ。
挙げ句の果てにはパスタと銘打っておきながらマカロニみたいな短いのがソースの中にこじんまりと置かれてる姿を見て悲しみに暮れたのは記憶に新しい。
どこがパスタだよ少量のマカロニじゃねーかナメとんのか!!と叫び出したい気持ちを必死に抑えて一口一口噛み締めたのだ。美味しかったけども。
ちなみにこちらではパスタではなくスパゲッティと表記されているのも親近感が湧いてほっこりした。
「ツル何にしたー?」
「きつねうどん」
「えっ、大丈夫?食べたことあんの?」
「は?むしろないの?」
「や、俺はよく食べるけど……」
「?どういうこと?」
トラの言葉の意味が分からなくてきょとんとする。
なんだか話が噛み合わないぞ。
「だってツルもお坊ちゃんでしょ?うどんとか食べたことあんのかなーって」
「え、俺全然庶民だよ」
「いやいや」
本当のことを言ったのに、トラは「いいよそんな謙遜は」とでも言いたげに半笑いで見てくる。
なんだその顔イラッとするな。
反射的にその眉間を二本指で突き刺すと、白目を剥いてよろめいた。ざまみろ。
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