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「あっもう昼休みですね痛みも引いたんで教室戻りますありがとうございましたー!」と早口に言い立ち上がる。
なぜ生徒である彼がここで保健医のようなことをしているのか等疑問はあったが、失礼を言ってしまった手前あれこれ聞くのも気が引ける。
さっさと退散してしまおう。
力なく片手を上げる彼に軽く礼をして扉に手をかける。
途端ガラッと勢いよく扉が開いて反射的に手を引っ込めた。
えっ俺まだ開けてない。
驚いていると目の前に現れたのは同じように驚いた顔をしたトラだった。
「おわっビックリした!なにツルもう大丈夫なん?」
「うん、今戻ろうとしたとこ」
「見舞いついでにメシ持ってきたからここで食おーぜ」
ひょいと持ち上げて見せたのは俺が今朝作ったタッパー弁当。おのれ勝手に俺の鞄漁ってきたな。
というかまじか。ここで食べろってか。
たった今ここにいる先輩と微妙な空気になってしまったというのにまじか。
固まって口元をひくつかせる俺を気にせずトラは中に入る。
「やっぱいたヒコさん!お疲れ様でーす」
「おー。つーかここ飲食禁止だぞこら」
「いいじゃないっすかぁ。ヒコさんも一緒に食べましょ」
「俺学食行くつもりなんだけど」
「ツルお手製の弁当をお裾分けしてやりますよ」
「我が物顔で何言ってんだ。まぁ別にいいけども」
居座る気満々のトラに仕方ないなぁと肩をすくめて引き戻す。
大きいタッパーしかなかったので、多めに作って容量埋めたから3人で分けても少な過ぎることはないだろう。
というかそれ以前に俺ごときの手料理を先輩に食べさせるなんて恐れ多いし差し出がましい気がするのだが……。
そう思って遠慮がちに先輩の顔を伺うと、
「え、手作り弁当?まじかすごいな。俺も食べていいのか?」
ええー嬉しそうー……。
飲食禁止をあっさり引っ込めた先輩は目をキラキラさせていて、これまでの印象と変わって少年らしく見える。その顔はとても魅力的なものなのだか、今それを俺に向けられても嬉しくない。
拒絶されたらそれはそれで少し傷付くが、こんなに期待されても気が重くなる。
本当に俺別に料理得意ってわけじゃないんだよ……普通に食べれる程度のレベルなんだよ……。
全く気が乗らないものの、断るわけにもいかないので諦めて腹を括った。
「不味くても文句言わないで下さいね」と釘を刺し、トラから弁当を引き受けて机の上に広げていく。
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