アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
「時枝水族館って初めて来たけど大きいんやなぁ。」
「でしょ?この辺じゃ一番だと思う!あ、こっちがプラネタリウム。あとで行こーね。」
「はいはい。そんな急かさんでもええのに。」
笑っている久夜の手を引っ張って水族館入る。
ここの水族館に来るのは初めてではないけれど、来たのはもう何年も前のことで内装は昔と違っていた。
薄暗い館内、まず目に入ったライトアップされた水槽の中には、クリオネがいた。
…あの可愛い見た目をして、えげつない方法で獲物を食すクリオネ。
「こいつの可愛さは、俺にはよう分からん。」
久夜はそう言って、大きなガラス張りの水槽の前に行ってしまった。
…可愛いのになぁ。見た目は。
久夜のあとを追って、大きな水槽の前にいけば、その中ではサメを含めたたくさんの種類の魚が泳いでいた。
俺は魚には全然詳しくないから、なんの魚がいるとかは全然わからないけど。
小さい魚から、大きな魚まで、いろんな種類が集まってるのは圧巻で。
俺はしばらく口を開けたまま、その場に突っ立っていた。
「梁瀬は魚好きなん?」
「別にそうでもないかな。でも見てる分には好きかも。」
「ふーん。」
「久夜は好きじゃない?」
水槽のトンネルをくぐりながら次の場所へ移動する。
頭上を魚たちが泳いでいるのはなんだか不思議な感じがする。
「好きとか、嫌いとかないなー」
「…またそれ。」
久夜は好き嫌いがない。本当に。
これが好きとか嫌い、とかそうゆうのがほとんどない。
勉強に関してもそう。
食べ物とかも聞いたことあるけど、特にないって言ってたし。
バスケ以外に好きなものがないらしい。
だけど、運動神経はいいから、大体のスポーツはできる。みたいな?
…なんてやつだ。
クリオネ同様にライトアップされたクラゲの水槽。
ゆらゆら漂うクラゲに合わせるようにキラキラと光る水槽は幻想的で。
俺はとても楽しかったけど、久夜は相変わらずなんとも言えない表情をしていた。
…水族館は失敗だったかな。
「外でさ、ペンギンの散歩があるんだって。行かない?」
「ええよ。行こか。」
「…、久夜楽しい?」
「なんで?楽しいよ。お前が楽しそうにしてるんを見るんは。」
…なんか、思ってた返答と違う。
それじゃ、俺が楽しいならいいみたいな。
…来た意味ないじゃん。
ちょっとしたモヤモヤを抱えながら、久夜とペンギンを見に行く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 80