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プラネタリウムの中が段々と暗くなって、上映が始まる。
匂いつきらしく、少し甘めの優しい匂いが場内に広がる。
…ちょっと気を抜いたら寝そう。
「っ!?」
だけど、寝るかもと思ってた、ひじ掛けに置いてた俺の手が、始まってすぐ、温かい何かに包まれる。
びっくりして見てみると、久夜の手が重ねられていた。
…同じ男なはずなのに、俺よりでかい手。
そのまま上映時間ずっとだったから、変にドキドキして、結局集中できなかった。
あーもう、久夜が変なことするから。
「プラネタリウム初めてきたけど、面白いんやな。下手すると寝てまう感じもするけど。」
「…そうだね。」
「もう4時か、早いな。帰る?」
「あ、うん。」
時計を確認した久夜は出口へ歩きだす。
さっきのことは一切気にしてないようだ。
また俺だけか…
来た時と同じように、海の見える道を歩いて電車に乗って。
俺の最寄り駅で久夜と一緒に降りた。
「梁瀬はいつもここから通っとるんやね。」
「ただの住宅街だよ。あ、お前んちほどでかくないから期待すんなよ。」
「別にしとらんよ。梁瀬の親は何しとるん?」
「普通のサラリーマンと専業主婦。」
あんまり詳しく聞いたことはないけど、父親は無難な会社員で。
母親も時々パートしたりしてるけど、基本的には家にいる。
一般的によくある家庭環境で育った。
「へー。母親がずっと家にいるんも変な感じやね。」
「八尋先輩のお母さんはそうじゃないの?」
久夜のお母さんは海外飛び回ってるって言ってたけど、八尋先輩のお母さんも同居してるわけだし。
…でもテスト期間に行った時はいなかった気がする。
「咲那さんはバリバリのキャリアウーマンやで。
家帰ってくることのが少ないん。時々帰ってきても深夜とかが普通。」
「え、じゃあ普段八尋先輩と二人なの!?」
「ん。そうやね。ほとんど。」
…思ってた以上に複雑というか、大変そうなんだけど。羽桜家…。
「あ、ここ俺んち。ただいまー」
T字路曲がってすぐの家。別に特別大きくもない一軒家。
数段ある階段を上って、ドアを開けた。
「あら、お帰りなさい。今日はお泊りじゃなかった?」
「荷物取りに来たの。久夜、ちょっと待ってて。」
いつものように家に帰れば、母さんに出迎えられる。
今日は泊まると言っていたからか、少し驚いた顔をされた。
久夜を玄関で待たせるのも気が引けたけど、すぐに戻ってくれば問題ないだろ。
俺は2階にある自分の部屋に向かった。
「玄関で待たせるなんて…。」
「いえ、気になさらんでください。すぐ帰るんで。
あ、俺、梁瀬くんの友達の羽桜久夜言います。」
「久夜くんね。いつも梁瀬がお世話になってます。
…もしかして梁瀬をバスケ部に誘ってくれたのはあなたなのかしら?」
「こちらこそ、梁瀬くんにはいつも助けてもらってます。
バスケ部に誘ったんも俺です。」
「そう。あの子が毎日楽しそうなのはあなたのおかげなのね。ありがとう。」
「…俺の方が楽しい毎日を送らせてもらっとるんで。」
「ちょっと、母さん余計なこと言ってないよね?」
下から母さんと久夜の会話が聞こえてきて、元々まとめてあった荷物を持って玄関に戻る。
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