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コンビニが天国 →side uno
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オレには、チームの奴らに慣れない嘘をついてまでゲットしたいモノがあった。
それは、帰り道にある系列コンビニ限定でしか売っていない、「ベリーベリーふわとろチーズクリームパフェ」を手に入れるためである。
実は、オレはかなりの甘党である。
甘くてうまくて、見た目も可愛らしい、あのデザートなるものを欲してやまない。
だけど、そんなの似合わない事は、オレ自身が1番理解している。
三白眼は人から怖いとびびられ、でけえ身体じゃこんな可愛いデザートなんて丸呑みするくらいには思われているだろう。
自分を客観視できるくらいには、オレは空気を読めている。
だから、円山なんかを一緒に連れていったら、こんな空気画読めているオレがそんなものを買えるわけがない。
こんな女子みたいなモン食うんか?とか、ありえねーとか、そんな風に言わなかったにしても、心の中でこいつ、ありえねープププとか思われたとしたら、体に反してか弱いオレの心に与えられる精神的ダメージは図りしれない。
そんな危険な賭けに出るくらいなら、どんな嘘でもなんでもついてでも、円山やチームの連中は近づけたくない。
コンビニの自動ドアの中に入り、目当てのデザートコーナーをちらりと横目で見やる。
どんなにトキメキを感じていても、直行なんかは絶対しない。そんなことをしたら、周りにいる客に、デザート目当てだと思われてしまう。
まずは、ドリンク売り場にいき、二三本ペットボトルを入れて、次にオニギリを二三個入れる。
そして、最後に、狙いの「ベリーベリーふわとろチーズクリームパフェ」をカゴにインする。
ここまでの動作でオレの意識は激しく高揚している。
ここから、レジの間が最大の緊張感が胸がドキドキして、一番スリリングな瞬間だ。
バーコードを読む店員に顔を見られないように、まるで外にダチがいるのかというような表情を浮かべて、顔を外に向ける。
この時のオレは、助演男優賞でもとれるのではないかというくらいの演技力である。
「あの、763円になります」
店員がイラついた声でオレに声をかける。
どうやら、胸がいっぱいすぎて店員に何度か声をかけさせちまったらしい。
1000円札を取り出して細かい釣りとレシート、そして大切なレジ袋を受け取り、オレは「ベリーベリーふわとろチーズクリームパフェを手に入れるというミッションを完遂する。
イヤイヤ、おうちに帰るまでがミッションです、という言葉がある。
オレは、レジ袋を胸元に抱え込んで、ゆっくりとした足取りで自動ドアからコンビニを出る。
あとは、家に帰りついて、甘酸っぱいアイツとランデブーを楽しむだけだ。と、その時のオレはそう信じて疑わなかった。
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