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夢と現
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俺達が捕まってたのはやっぱり天界の地下だったらしい。
でも俺達の向かう先は、それよりもさらに地下。
どんどん殺風景になっていく景色に、何故か心臓がはねる。この先に何があるのか、何をしなければならないのか。
ウリエラは、無事なのか
さっきの映像がもし本物だったとしたら。倒れた原因は分からないけど、心配になる。
フェイクであってほしい。
あれがウリエラと別人であってほしい。
期待が浮かんでは打ち消されていく。
「坊っちゃん、ここから先は、お独りで」
俺1人?じゃあ仕事って俺の仕事だったのか?
長い長い階段を下りた先にたった一つ、ポツンと存在するドア。
コンクリートに固められた壁の中に、暖かい色の木のそれは違和感でしかない。
ゴクリと唾を飲み込む。
無性に喉が渇いて仕方ないのは何故だろうか。
血の匂いがするわけでもない。天界だから、月蝕が関係あるわけでもない、と思う。
「じゃあ、行ってくる」
ノブに手をかけ、思い切り押す。
心臓が痛い。ドクドクと脈打って、そこに存在することを精一杯主張する。
中から流れてくる空気は、違う。
その臭いはなんというか……生臭い。
「なんだよ、この臭い」
先にあるモノの姿は見えない。でもこの異質な空気に、恐怖を感じた。
だんだんと薄汚れた監獄のような場所を進む。
錆びて軋む鉄柵を開けると、そこには予想外の光景。親父がこれを予期していたのなら、随分と気持ちが悪い。
「ウリエラ……だよな?」
俺と別れたときもボロボロだった彼の、視覚的に壊された姿。
犬のように首輪に繋がれ、ドロドロとした生臭い白濁を全身にかけられたその姿に唖然とする。
そして、次に自分への不甲斐なさ、怒り。
あの時、あの場所で、泣いているような笑顔を見せた彼を、手放してはいけなかったという後悔。
感情の洪水に飲み込まれ、息をすることさえままならない俺に、言葉を紡ぐなんてできるはずもない。
「誰?………冬夜に……見える。そっか、これは僕の夢なんだね。さっきのことも、目の前に冬夜がいることも、全部全部僕の夢なんだ」
うわ言のように口を開いたウリエラ。
俺がいるのも”さっきまで”の行為も全部夢。
そう断言した彼は、熱に浮かされた時のようなうつろな瞳をする。
”さっきまで”の行為。それは夢でも構わない。
それが彼の心を守るための防衛本能なら、むしろそれが正常に機能したことを喜ばしく思うべきだ。
だけど、目の前に存在するこの俺を、夢なんかで済ますのは納得がいかない。
必ず、目覚めさせてやる。
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