アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
現実の夢
-
大好きな冬夜が僕を迎えに来てくれる。そんな夢。
でも夢ならもうちょっと気をきかせてくれてもいいんじゃないかな。
だって僕の身体は誰のかわからない精液でカピカピで、景色も変わらないまま。
違う、これは全部夢なんじゃないかな?
最初から。
あの男達が出てきたところとか、そのあたりから。
もしそうだとしたら、夢だって僕には残酷だった。
どうしてそんなに悲しい顔をするんだろう?もっと、もっと喜んでよ。僕にまた会えたって。
僕をこの悪い夢から目覚めさせて。
目が覚めたら隣に貴方がいて、そして優しい笑顔でおはようって言ってほしい。
それも全部、僕の妄想だけど。
どうせ目が覚めたって変わらず天界にいるだけだ。神様のそばで、一生を過ごすだけ。
それなら醒めなくてもいいんじゃないか
夢の中で冬夜がいるのならそれだけで。
僕の口が何か言葉を発する。
何を言ったんだろう?
なんだっていいか。
でもそれで、冬夜の顔が曇る。辛いような悲しいような顔をして、僕を見つめる。
僕が冬夜を傷つける。なんで?
その頬に手を伸ばそうとして、でもそれは彼の唇に食まれる。
その少し痩せたような頬に触れたかったのに、って少しむくれてみるけど、別にこれが不服ってわけじゃない。
絡められる舌が気持ちよくて、思わず声が出てしまう。さっきのおっさん達とは全然違う。
あぁ、冬夜だ、なんて。
「大丈夫だ、汚くなんてない。確にお前を襲った変態には腹立つけどな。ウリエラ、帰ろう、家に」
汚くない?違う、僕は汚い。自分で夢から覚めることも出来なくて、絶対に会わないって決めたはずの冬夜に、こうして迎えに来てもらっているんだから。
変な男に犯されて、冬夜が連れて帰るって言ってくれるような状況を、僕が作り出したんだから。
ふわっと体が浮く。
冬夜に抱き抱えられたんだ。
でも、不思議だな。
冬夜の匂いがする。あの細いけど綺麗な腕が、僕を支えてくれる感覚が、リアルに伝わってくる。
色も匂いも、感覚も、やけに生々しく伝わってくる不思議な夢。
首にしっかりと手を回して、肺いっぱいにその安心する匂いを吸い込む。満たされる。
気持ちいい
出来ることなら醒めないで欲しいこの幸せな夢。
でもなんだか、眠くなってきた。
夢なのに眠くなるってあるんだなーなんて。冬夜の少しだけ速い心音に、僕のも溶ける。
寝て起きたら、また辛い現実が待ってるかもしれない。
ここで意識を飛ばしたくないけど、僕の重たいまぶたはどんどん閉じて言った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
188 / 238