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18歳以上ですか?
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給血
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「ウリちゃんの応急処置の方法を教えようと思ってね。」
そう言ったは良いものの、自信があったわけじゃない。
だって地上の、しかも悪魔のところになんて誇り高き天使様は来ないじゃない?
「…何を、すればいい?」
「実際にアタシは見たことないんだけど、方法は簡単よ。」
普段なら”そんな不確かな情報を…”って怒るとこでしょうけど、今日はそれでも、っていう顔をしてる。
「あなたの血を、あげればいいの。1日1回。」
「血?」
「ええ。まあ体液ならなんでもいいらしいけどね。なんならお腹の中にたっぷりとそそ……ぶっ!」
まったく、酷いわね…。軽いジョークのつもりだったのに、そんな本気で殴るなんて。しかもグー。
「あなたは始祖の血をひいてるから、たぶんそれだけで事足りるわ。」
「…分かった。量は?」
「んー、そうねー、様子見ながらってとこかしら。どうせ堕天するなら多くてもそんな問題はないわよ。」
少し苦い顔をしたのは、アタシがちょっとだけテキトーだったからじゃなくてたぶん…。
「助かった、エル。ありがとう。」
「いーえ、お礼は…まあ考えとくわ。じゃあアタシはもう寝るわね。」
「ああ、おやすみ。」
▽
あの冬夜がねぇ。
とことん人間たらしの彼が実はあんなに一途だったなんて…。
成長を感じて、なんというか、親みたいな嬉しさを覚える。
成長といえば、そろそろかしら。
秋人くんから聞いたこの家のヴァンパイアの秘密。
《俺たちはね、ただの人間として歳をとる。そして成熟した頃、ヴァンパイアが目覚めるんだよ。まあそれが18歳くらいなんだよねー。》
そこまでは春陽も知ってる。
でもここまでは知らないんじゃないかしら。
《充分に力を得たヴァンパイアは、離れていく。俺も片割れがいたんだけどね、人間は寿命が短い。とっくの昔に別れてしまったんだ。》
そう言って寂しそうな表情を見せたのを、今でも覚えてる。
冬夜はたぶん、分離は早いわね。
天使の血は、力が強い。身体を壊すくらいに。
その血をいつも飲んでる冬夜は、普通の人間の血を飲んだときよりも溜りは早い。
それまでは、この家にいようかしらね。
あぁ、秋人くんに聞いとけばよかったわ。
メールしたら返事くれるかしら。
その後、秋人のもとに絵文字たっぷりのメールが届いたことは言うまでもない
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