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分からない
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「…ウリエラ、どうした?」
いつもならもっと構って欲しいってくる。でも今日は静かで、目も合わせようとしない。
「別に…」
「どうしたんだよ」
「だからなんでもないってば!あ、ねぇ、冬夜。僕の血、吸ってよ。」
”吸って”
絶対に彼の口からは出ないと思ってた言葉は、思いもよらない形となって飛び出した。
普段なら喜んで吸血する。
求められることが嬉しくない男なんていない。いるわけがない。でも、その言葉はどこか捨て身のような響きがあって。
「本当にどうした?おかしいぞ、お前。」
「ほら、早く。それとも神様の血が美味しかったから、間に合わせみたいな天使の血なんていらない?」
止まることのない言葉は、ただひたすらにウリエラという存在を否定していく。
俺はそんなこと一言だって言ってない。しかもウリエラよりも神崎がいいなんて思ったこともないし、これから先もない。
俺が大事に思ってること、いい加減分かれよ。
「は、なに言ってんの。誰がそんなこと言った?」
「誰も言ってない…。」
「じゃあなんでそうなったんだよ。」
「冬夜が悪い。」
俺が悪いの?
さっきからのウリエラは訳が分からない。どうしたらそんな短絡的な回答にたどり着くのかが、分からない。
「俺なの?なぁ、教えてよ、ウリエラ。どうしてそんなに怒ってるの?」
「知らない。」
「そう。じゃあ俺もウリエラのことは知らない。で、血も吸わない。」
「もういい。冬夜なんて知らない。」
聞いても完全に拗ねたウリエラは答えをくれなくて。だから引いてみたら、本当に怒ってしまった。
ベッドから立ち上がり、部屋を出ていってしまった彼の背を追う。ようなことはしなかった。
今追いかけても、多分何の話もできない。直感的にそう感じた。
「はぁ…わっけわかんねぇ」
心の中でずっと繰り返していた言葉が、音になって空気を振動させる。
何が悪かった?
そういえば神崎どうのって言っていた。
何をした?
血を吸っただけ。そこに何の他意もない、ただの食事。
思考を放棄仕掛けた時、ドアの向こうから声がかかった。
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