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宵
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「灰吏さん、冬夜出かけましたよ」
お茶をしてから姿の見えなかった春陽は、冬夜の部屋に行っていたみたいだった。
「なんでまたこんな時間に…。春陽、何時に帰るとか聞いてませんか?」
「場所はあらかた見当がついてるんですけど、時間は聞いてないです…。」
夕飯の準備があるんですが…とかぼやいてる兄さんの姿を横目に、僕は再び画面に視線を向ける。
兄さんに迷惑かけてまで行きたかったのかな。ていうか、どこに行くかも伝えないって非常識じゃない?
冬夜の態度にだんだんイライラしてきて、ゲームどころじゃない。
"まぁ今はそっとしときなよ"
この言葉を、春陽がどういうつもりで言ったのかは分からないけど、これが唯一、僕をこの場に繋ぎ止めていた。
「…ウリエラ、どうした?」
「んーん、なんでもない。春陽、続きやろ!」
たぶん突然静かになった僕を心配してくれたんだろうけど、咄嗟に誤魔化してしまった。
▽
「…ぉや?」
普段横に感じる熱がなくて、起きる。
11時を少し回ったくらい。僕は寝てしまっていたようで、電気はついてるけど、ゲーム機は綺麗に片付けられ、周りには誰もいなかった。
「あー、とーや帰ってきたのかな」
暗い廊下をふらふらと歩く。って言っても冬夜の部屋はすぐ近くで、でもそこには光がない。
「まだ外にいるんだ」
すごく、心配になる。
事故にあったんじゃないか、誰かに連れ去られたんじゃないか。
ヴァンパイアの身体や力は人間なんかより強いってことは記憶から完全に飛んでいて。
探しに行こうかと思ったとき、ガチャリと玄関のドアが開く音がした。
今帰ってくるのは冬夜しかいない。
リビングに走ると、ソファに座った彼がいた。
「おかえり」
「あ?んでこんなとこに変な奴がいんだよ」
声をかけると返答がおかしくて、酔っ払っているみたいだった。
「なに、そんなに飲んだの?」
「うるっせーな。関係ねーだろ。なぁ、なんでお前家にいんの?あぁ、血ぃ吸って欲しかった?」
「何言ってんの」
「そんな気分じゃねぇけど、いいぜ、吸ってやるよ」
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