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一
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凪は薄暗い路地裏をおぼつかない足取りで歩いていた。とても、まともに歩いていられる状態ではなく、壁伝いに歩を進める。
しかし、それも長く続く事はなく、数瞬の後、その場に崩れ落ちた。
地面に体を強く打ち付け、身体の至る所が痛む。
数日、何も食べていないという事もあり、とても立ち上がる事は出来そうにない。
それどころか、人の姿を保つ事も難しかった。
徐々に凪の姿は、本来の尻尾が二股に分かれた黒い猫の姿へと変わっていく。
あぁ、自分は此処で死ぬのだろうか――。
毛皮越しに感じる、冷たい地面の感触を感じながら、徐ろに凪はそう思う。
それはそれで、いいのかもしれない。だって、死ねば彼に会うことができる。
薄れゆく意識の中で、自分にそっくりな、それでいて自分とは比べ物にならない程、綺麗だった彼を思い浮かべながら凪は意識を手放した。
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