アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
85
-
姉が 母に 言葉を挟ませることなく まくし立てるように 話し続ける。
「お母さん将来のこと 考えている?
どうするつもりなの?
お父さんだって いつまでも医者をやってる訳じゃないのよ。
お父さんが今死んだらどうするの?
私に頼るの?
私だって 姑に仕えて お母さん達まで、面倒みれない。
お父さん死んだらお金入ってこないのよ。お母さん どうするの?
住民税 やら 年金やら 後期高齢何とか とか 健康保険料 固定資産税払えるの?
年金はまだ貰えないわよ。
お母さん この家の 貯金 今幾ら有るの?貯金通帳見せてごらんなさいよ。
今はお父さんが稼いでいるから 何とか税金払ってるけど、お父さん死んだらどうするの 相続税払えるの?幾らか知ってる?
お父さんがもし倒れて 体動かせなくなったらどうするつもりなの?考えてないの?無計画ね。
私はね 長女として 心配してあげてるの。真弓が結婚でもして お嫁さんや子供が居れば 安心よ。いえ それだってお金が心配だわ。このクリニックだって 建物を 建てたときのお金全部払い終わってるの?払い終わっていないなら 幾ら残っているの?
内視鏡の機械だって 高いんでしょ?支払い終わったの?
受付事務の女の子や看護師には 毎月幾ら払っているの?
看護師いったい何人居るの?
帳簿を見てあげるわよ。
お父さんのことだから 沢山払ってるんじゃないの?
長く居る人から どんどん クビにして 新しい女の子を雇えば良いのよ。
安い給料から始められるわよ。人件費は一番高いのよ。何人もいるけど 無駄じゃない?
待合室だってお日様入るんだから。
暖房費幾ら払っているの?
無駄な暖房は止めて こまめに切るようにしたら?
お母さん何も知らないじゃ 済まないわよ。お父さんも お金に無頓着で いい気なもんね。海外なんか行っちゃってさ。開業医が幾ら稼いだって たかが 知れてるでしょ?」
今 看護師を始めとして 医療 介護の現場での 人材を確保するのに どれだけ苦労しているか わかっていないのか?
それに父の 旅行だって 一銭だって姉に負担させたわけでもないだろうに。
「だいたい 真弓のホモを許すから。お母さん達将来 路頭に迷うんじゃないの?私は助けてあげられないからね。
真弓をアテにしたらバカみるからね。
真弓は頼りないし、なーんにも考えない能天気だし。自分のことしか考えてないんだから。私とパパだけよ。お母さん達のこと心配して 色々考えてあげたりしてるの」
心配シテアゲテル?
心配してくれと誰が頼んだと言うのだ?
「今まで 私達から盆暮れには 御中元と 御歳暮 この家に欠かさず あげたわよね。
お母さんは無収入だから ここに来る度に お母さんに お小遣いあげたわよね。
今まで パパの実家から 高級な昆布だの鮭だのこの家に送ってあげたわよね。お返しは 私がパパの実家にしてるのよ。」
いや 母は お返しをしている。姉を通して。
いや 母にも 僕にも向こうから 直接来るようになって 僕も母もお返しはしている。
だいたい 横浜のお母さんにって姉の姑から来ているのを 姉が出し惜しみしていたのだ。
姉から 恩着せがましくアチラからのおすそわけシテアゲル って 言って母に渡していたじゃないか。
母から向こうにお返ししたら 自分が横取りしていたのが バレる。
姉が横取りしていたから 母からとして 姉が お返しせざるを得なかったんだろう?
「いったい 今まで 幾ら私がこの家にお金使ったと思ってるの?
それをお金に換算したら相当になるわ。
そういうの お母さん つもり貯金みたいにして 貯めたら幾らになると思ってるの?そういうお金を どうせ 貯めていないんでしょう?無計画よね。お母さんて。お父さんにだって言えないでしょ?」
僕は心の中て呆れ 唸り声をあげそうだった。そんな細かいことを言えば 姉達が来る度に 子供達に小遣いをやったり 何かを買い与えている父母は?
その前に金に汚いことを言えば姉達がここに居る間の 滞在費を換算したら?
いや 結婚するまでこの家で育てて貰ってその成人するまで の生活費は教育費は 衣食住費は?
孫達の初節句 雛人形 誕生日祝い…………
数え上げたら それこそ 自分の 立場 が 悪くなるだろう。
しかしそれを 言えば ひとつひとつ もっともらしく 言い返すことは 目にみえている。
「だからさ 将来 何かの足しになるから 3階を貸しなさいよ。
もったいないわ。それか 真弓から 家賃を取りなさいよ。この辺の相場なら あの広さで 10万は軽く越えるわね。
人が借りないときは 無人だと建物が傷むから 私たちが 時々 こっちに来たとき 住んで あげる わよ。
とにかく 計画性無いわよ。
将来の為に 人に貸しなさいよ。」
「そんなこと お父さんに相談無しに決められないわよ。」
「最終決定はおとうさんがするとして
この家には 幾ら財産があるの?貯金は?ローンは?光熱費は人件費は?あのオカマ医者に幾ら払っているの?収支はどうなっているの?会計士を頼んでるの無駄じゃない?もっと安いとこあるか 調べたの?」
「お金は私分からないわ。クリニックはお父さんが 事務の子に会計やらせているし、…………」
「信用出来るの?その子。お金ごまかしたりしてないと言い切れる?信用しちゃ駄目よ。お母さん 呑気ねぇ。」
「冴子ったら。」
「だいたいね、真弓が いけないわよ。長男のくせに。跡取りのくせに。あんた 歳老いたらどうするの?オカマとホモの2人で どうしようもないんじゃないの?
からだ動かなくなったらどうするつもりなの?
私は子供がいるからどうにでもなるわよ。あんた 独身でさ ホント気持ち悪い。
老人になってからじゃ遅いのよ。あんたのために 心を鬼にして言ってあげてるの。真弓、悪いことは言わないわ。結婚しなさい。女と。
歳取ってじいさんになって。
考えてごらん。
女ならね、台所も出来るし 洗濯もできる。お料理だって作れるのよ。男が2人じいさんになって えーあのとき 姉さんのいうこと聞いとけばよかったなぁーって後悔しても遅いのよ。
私の言う通りにすれば あー姉さんのいうこと聞いておいてよかったー。って思う日が必ず来るわ。私に泣いて感謝する日が来るわ。
今だって気持ち悪いのに じじいになって まだホモしてるわけ?きっとあの高卒ののっぺり男に飽きるわよ。ろくなもんじゃないわ。どこの馬の骨に 騙されたんだか。誘惑されたの?今のうちなら 手切れ金無しでも 高卒だから理解出来ないんじゃない?止めなさい。悪いことは言わない。世の中の正論を言ってるのよ。常識ってやつを あんたのためを思ってね」
そこで
僕は
初めて ぶちギレした。
人生で初めて 怒り心頭
人間は あまりに怒ると 大声を出すことを知った。
怒りで からだが 震えることを知った。
「いい加減にしろっ!!
もううんざりだっ!
あんたは どうして 自分が正しいとしか 考えないんだ!
僕達家族が 自分の思う通りになると思ったら大間違いだ!
自分の思い通りに 世の中が動くと思ったら大間違いだっ!
あんたは
周りの人間を不快にする天才だ。
この家のことに 口出しするな!
自分の支配下に全てを置きたがるのはやめろ!
よく知りもしないくせに 悪口を言うな!」
大音声で 怒鳴り付けた。
すると どうだろう?
姉は 涙をポロポロこぼし 母の後ろに隠れ
「お母さん 怖いっ。真弓が。
前にも こうやって 私を 脅かしたの。
怖かった 怖かった 怖いわ 真弓って こういう人間なのよ 本性をむき出しにしたわ。
お母さん 助けて 怖いわ 真弓が」
泣きながら 母にすがっている。
今誰かが この場面に出くわしたら 完全に僕が 悪者だ。
冷静に生きてきたつもりだが 僕は 本当に 激しく 怒りを覚えた。殺意さえ 沸き上がるようだった。
これだけ 人を怒らせて 被害者ヅラするのか?
人を不愉快にさせて 罪悪感も一切無しか?
恩着せがましく 人を下にみて 今度は か弱い人間になりきるのか?
母はオロオロして 後ろの姉を見やっては 僕を見詰める。
分かった。
一旦僕が 引き下がろう。
僕は 口からあふれでる 沢山の言葉を呑み込み 階下に向かったのだった。
怒りで 開いた口が 塞がらなかった。
泣けば済むと思っている。
だから 女って
いや 偏見はいけない。
世の中には
女性でも 現実を把握出来る人間は沢山居る。
姉に あんた 呼ばわりをするのも初めてだし 僕が大声を出すのも 初めてだろう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 137