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それから後の事はあまり覚えていない。
俺は誰もいない暗くて冷たい家の廊下を歩き、腫れぼったい瞼を下ろして泥のように眠った。
できるだけ何も考えないように。苦しさも寂しさも全部忘れるように。
そうやって眠るしか、俺には選択肢がなかった。
「……ん…….。」
気がつくと、朝になっていた。
「今日…学校………休みか…。」
俺はもう一度寝ようと瞼を下ろした。
その時、あまり鳴らないはずのインターホンが来客を告げた。
母さんは長期の海外出張でいないし、それを知ってるはずの母さんの知り合いが訪ねてくるわけがないのだ。
…だとすれば、一体誰なのだろう。
俺の知り合いで家を訪ねるやつなんて舞田くらいだ。
俺は仕方なく、玄関に向かった。
「はい…。」
「おぉ、おはよう猫村。」
そこには、普段より少しだけお洒落をした犬井先生が立っていた。
「は…?何、なんなの?」
「いや、お前大丈夫かなって。心配して見に来た。」
「……はぁ。」
ほんとに、わかんねぇやつ。
なんでこう、こいつは無神経なんだろうか。
「なんで、来んの。ほっとけよ。」
「ほっとけるわけないだろ。昨日いろいろ考えたし、話だけでもしたいんだ。」
「昨日の今日で、なんでそんなこと言えんの。」
「そんなの決まってるだろ。」
犬井はまたあの笑顔で言った。
「お前が好きだからな!」
「…は?」
「いや、いろいろ考えたんだよ。俺はお前のことが好きじゃないのかって。でも、俺はお前を嫌いなわけじゃないし、かといって男として好きかっていうと違うんだよな…。じゃあ何なんだろうって考えた時、やっぱりお前は生徒なんだよ。俺は生徒として、お前が好きなんだなって、思ったんだ。」
何を言ってるんだろうこの人は。
お前は恋人にできないけど生徒として好きだって言ってるのか?
告白して振った相手にだぞ?何を考えてるんだ?
俺にはもう意味がわからなかった。
ただ、この人を手に入れたくて堪らなかった。
気づけば、俺は犬井の手を引っ張っていた。
「うぉっ!な、なんだよ!」
「黙れ。」
俺は抵抗する犬井を家に引き込んで、鍵をかけて、ベッドに押し倒した。
「ちょ、猫村?じょ、冗談だろ?」
「…あんたが悪いんだよ。ワンコちゃん。」
暴走した劣情や欲望は止められない。
俺は犬井を酷く抱いた。男に抱かれるなんて、初めてだったろうに。
「っい゛!!い゛たい!ね…ごむらぁ!!」
「うるせぇ。」
「も、むり…!いきなり…そんなん入んねぇよぉ…!っあ゛ぁ!?いだい!!」
「黙れ!!」
涎と鼻水と涙まみれの汚い顔をした犬井に興奮する。
俺が、犬井を犯してる。
「な゛んで…。おまえが……ないてるんだよ…?」
「は…?」
犬井の手が俺の頬に優しく触れる。
目から涙が溢れて止まらない。
彼が優しい言葉を零す度、俺は涙が止まらなくなる。
ずるい、卑怯だ。
俺はもう犬井が優しい言葉を吐かないように、さらに酷く抱いた。キスをして口を塞いだ。
そうする事でしか、自分を守れない。
俺は、嫌な奴だ。
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