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距離
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今日は久しぶりに白鷺さんに会う。
別れを切り出されるかもしれないのに、会えるだけで喜んでしまう僕は、本当に馬鹿だ。
でも、嬉しい。
あなたに会える、それだけで。
あなたの声を聞ける、
あなたの顔を見られる、
それだけが僕の光だから。
「大和!」
「えっ・・・」
家まで電車で行くと告げたからか、白鷺さんちの最寄り駅に彼は居た。
ちょうど買い物帰りだったのかもしれないが。
「・・どこか行くんですか?」
明らかに家と違う方向へ行っている。
「今日はさ、外で飯食おうぜ。」
「え・・・」
「家ばっかりも、なんだしな。」
今まで僕が嫌がっていたから、外食することなんて無かったのに。
しかしこの状況で断るわけにはいかないか。
「・・そうですね。」
そう答えると、白鷺さんは安堵の表情をみせた。
早く、家に行きたいな・・・。
絶妙な距離を保つように意識しながら、彼に着いて行った。
着いたのは、ちょっとお洒落な居酒屋さん。
個室に案内された。
薄暗い照明が、店の落ち着いた雰囲気を引き立てている。
「ここ、美味いって聞いたからさ。」
そうなんだ。
だからわざわざ連れてきてくれたの?
・・嬉しい。
ついニコリと笑みが漏れる。
「・・大和、よく笑うようになったな。」
「・・はい。」
あなたのおかげです。
あなたのおかげで、初めて僕の人生に太陽が見えた。
眩しい太陽、眩しいあなた。
好きだ、本当に・・。
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