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それから―
鈴が来ても、無視する。
足早に通り過ぎれば、鈴は、
「…治療…。」
と呟く。
知るもんか。
そんな事が、2、3回あった後。
「…何だか、苛々してんのが余計酷くなってんぞ?山崎。」
高梨が心配そうに言った。
「…そうか?」
「うん、こえーぞ。」
高梨に気付かれる位だから、よっぽどだろう…。
実際…このところ、上手く行かない。
仕事をすれば、ミスる。
交渉にいけば、決裂する。
…はああぁぁ…。
「大きなため息…。あのな、そう云う時は パーッと気分転換するに限る!うん!」
「そんな気分じゃない…。」
「…重症、だな。おまえ…。」
気の毒そうに高梨が言う。
そんな気分じゃない。
なんで苛ついてるのか、俺にもわからない。
― 無視した時の鈴のじっと見つめる目、ぽつんと立ち尽くしてる姿 ―
そのくせ、マンションの前にあいつがいないと、何か物足りないなんて…。
ああ 苛つく。
今だけだ…。
いずれは、諦めて別の所に行くだろう。
…今だけだ…。
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