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痣
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母が戻ってきたのは三日後。
割れた物、壊れた物を処分し
散らかった部屋を片付けるには
慣れた俺にとって充分な時間で。
兄に至っては全国大会後、
そのまま友人宅に泊り歩いてらしく
結局、戻ってきたのは夏休みが
終わる前日だった。
今回は運良くテレビや窓ガラスが
割れていなかったこともあり
表面上は以前と大きく異なりは
しなかったから、
多少モノは無くなっているものの
誰もそれを指摘する人もいなかった。
父はあれからまだお酒を口にしては
いなくて、お母さんと普通に話している。
俺はそれを横目で見ながら
お風呂へと向かった。
脱衣所の前には大きな姿見があって
見るとはなしに自分のガリガリな
肢体が映し出されていた。
ココにもココにも未だ消えていない
痣がある。
それでも大分薄くなってきてるから
学校始まって一回くらい体育を休んだ
頃にはきっと皆に気が付かれない程に
なっているだろう。
顔を上げると自分の顔。
生気のない暗い表情、
ただそこに痣だけは無かった。
今まで一度も顔だけは
殴られた事はない。
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