アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
俺を見てない
-
「桐江さん俺も一度会ったことあるけど
子供相手にそんなの仕掛けるような
人には見えなかった……違った?」
記憶にある桐江さんは、どちらかといえば
優しっくて温厚な間違っても
嫌な感じなんか微塵も感じなかった。
「それくらい分かってるよ。
別に首謀者がいる、彼はその人の
遊びに付き合ってるだけ」
知ってて……?
「あの人は元々俺なんか見てやしない、
馬鹿だ俺。最初っから分かってたのに。
何で好きになんかなってるんだ……くそっ。
クソッ!!」
「……四堂君」
顔を真っ赤にして悔し涙を目に
浮かべてる彼を見ていると
その痛みが自分にも
伝わってくる感覚さえした。
「ねぇ……ちゃんと告白してみれば?
桐江さんだって四堂君が本気だって
知れば考えてくれるかもしれない」
根拠の欠片もない子供じみた励ましは
自覚のない残酷な言葉そのもの。
今、俺が他人からその言葉を口にされれば
きっと勝手な事を言うなと怒鳴り返して
いたかもしれない。
四堂がそうしなかったのは
彼がやはり年齢以上に大人だったから
なんだと思う。
彼は既にこの時、知っていたんだ。
簡単にいく相手じゃないって事も
辛い恋になるって事もきっと全部。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 234