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3ー14
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「生きてるんですか?この方…」
生きていると言えば生きているし、眠っていると言えば眠っている。
長い時間の中、この地下室で独り。
――…ずっと 。
「彼を見て…どう思う?」
ウリエルなら何と応えるだろう。
彼を見て、最初の印象を是非とも聞きたい。俺は瞳を細めて様子を伺う。
「どう思うって言われましても…難しいですね…」
首を傾げ、ウリエルは考える。
「…儚いとは思わないのか?」
「その例えはあくまで貴方の印象でしょう。私の中では…微睡みの泡沫と言う感じです。そう、泡沫が一番近い…」
「――…泡沫」
「一瞬にして消えていきそうな…脆く、繊細で。扱うのが難しい…」
単にウリエルが感性豊かなのか、俺が欠けすぎているのか。『泡沫』と例えた表現が胸を燻らす。
魂すら存在しない屍を、置いているだけにしか過ぎないのに。
どうして…。
焦燥するのだろう。
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